第捌什伍話 幸せな胃袋と満腹な心と
「次はオイラ!」
「はい喜んでェ!」
「あたいの番が来た!」
「ゆっくり食っていけ!」
「某の丼を頼むでござる。」
「承った。」
「俺のはこれ入れてくれぃ。」
「良い物持ってきたね…」
「あちしもうお腹ペコペコよーぅ!」
「落ち着け回るな座れ!」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「さ…最後の1人…お待たせしました…」
「おにーさんありがと!ちゅっ!」
「おっと、これはこれは。ありがとうなお嬢さん。」
「お疲れさまでした月斗さん。タオルどうぞ。」
「ありがとうシエル。あー疲れたー…」
「すごかったですね、最初にいた人数より明らかに多かったですよ?」
どうやら騒ぎと噂を聞きつけた人達が後から沢山来ていたらしい。なるほど100人以上いたわけだ…
「そういえば大食いの方は…」
「あ、無事記録更新しました!元記録の2倍食べたのでしばらく更新されることは無いと思います!」
「…人って自分の体内に自分より大きい質量が入るっけ…?」
科学的に調べようとしたけれど異世界なので、その内月斗は考えるのを、やめた。
「でもこれで、米と無料権は俺達の物…うん?」
『旅人さん!』
「おぉ、食べに来た方々。」
『ありがとう!』
「旨かった!」
「美味しかったよ!」
「うちで雇いたいくらいだ!」
「また食べたーい!」
「いつでも私達の店に寄ってくれ!」
皆口々に感謝を延べて去り行く。今日ここは、老若男女皆が笑い満腹になった場所だった。
「…月斗さん?」
「っ…悪い。何でもない…」
「よしよし。頑張りましたね。」
「頭を撫でるな……」
「嬉しかったら泣いても良いんですよ。」
「いや目にゴミが入っただけなんだが…」
「まあまあ。よしよし…」
本当に目にゴミが入っただけなんだよな…
「さて!そろそろお腹も良い感じになってきたので宿に戻りますか?」
「あ、聞いてくるんだ。完全に言い切る感じだったけど。」
今の季節を夏だと仮定して日の傾き的に大体15時くらい?2時間くらい飯作り続けたの俺?
「俺は…まだもう少し散策するよ。」
「では私は先に戻ってますね。また後でー!」
「おう。さて…あんまり食べてないけどお腹いっぱいだしな。」
新しい服でも買いに行こうかな。
第捌什伍話 幸せな胃袋と満腹な心と 完




