第漆什漆話 一時の睡眠と一割の能力
「ふっ…ん…疲れた。」
『お疲れさまでした。あれから相当鍛錬したのに疲れたの一言で済むのは流石と言ったところでしょう。』
「あぁー…すいません、日付変わる前に1時間寝かせてもらえますか…」
大きく伸びをして言い放つ。
『ええ。では布団を出しますね。』
そう言われ小宿の中へ歩を進める。チグメ様の足取りは何故か軽く。
「この小屋中身あったのか…」
まあ四畳半の畳敷きに布団が敷かれているだけでちゃんとした中身があるとは言い難いが…
『さ、どうぞ。』
「一緒に寝るつもりすか。」
『もちろん。』
「…鳥の姿でなら。」
神と同衾とか頭おかしくなりそう。
まあいいや、眠いし。
『では私も。んしょ…』
あ、鳥って暖かい…ぐぅ…
『ちょうど良い堅さの筋肉…すやぁ…』
♢ ♢ ♢
「っはあぁ…寝た寝た。つっても1時間だが。」
『すぅすぅ…』
起こした方が良いのかな。触らぬ神に祟り無しとは言うが…祟られないとは思うけど。
「ま、起きたら勝手に来るでしょうな。さて買い出しにでも行くか…」
「えーと…これニンジン…?」
♢キャキャロット
「キャロット。サラダ炒め煮込み蒸し…これは?」
♢土パラガス
「アスパラガスか。豚と合わせて炒め物にでもするかなー。」
あ?てかなんで名前見えてんだ?
『貴方の能力。』
「あぁ農業特化。植物の名前見えるんだ。農業っつーか植物特化じゃねこれ。」
『まだまだ秘められた部分の方が多い上にそれらも近いうちに出て来ると思いますよ。』
てかおはようございます。早朝だけど。多分4時前後?
『おはようございます。運動して寝たのでお腹空きましたね。(チラッ)』
「チグメ様は運動してないですよね。良い野菜もちょっと買えたので宿に戻って朝ご飯作りますよ。」
まあ食いたいなら作るが…何作るかなー。
「捌いて保存用にしといた肉があるし…女性のためのヘルシーな肉野菜飯…肉巻きかな。」
『私は甘い物が好きです…』
朝から辛いもん作らねえよ。てか甘党か…俺と同じですね。
「いつかスイーツフルコースやりますから…」
第漆什漆話 一時の睡眠と一割の能力




