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第漆什参話 名刀の予感…?

「これ良いなァ…決めた、こいつを貰ってく。」

「良し、鑑定と刻銘はしていくか?」

「うーん…この紋様を穢したくねえし刻銘は遠慮して鑑定だけ頼む。」

「分かった。なら明日鑑定人を呼ぶとしよう。」

刀の鑑定とかも覚えた方が良いんだろうかなぁ。専門職でもないし必要ねえか。

「じゃああとは…なんかあるか?」

「いや、特には無いが。」

「が?」

「刻銘しないなら刀剣自身に名を付けるのかと思ってな。」

「名付け?」

「ああ、本来なら所有者の名前を束などに彫るのだが、それをせず刀剣自身に名を与える者がたまにいてな。」

「へぇー。メリットでもあんのかねえ。」

まあ確かに有名な刀剣は大層な名前付いてるけど。天下五剣とか、村正とか草薙とか叢雲とか。

「んー…安直に『霧雨(きりさめ)(つるぎ)』で良いんじゃあねえか。」

「付け方が雑だな。所有者が付けたから文句は言わんが。」

「名前なんて見たまんまで良いだろ。」

厨二臭い名前付けても俺が恥ずかしいだけだけだ。そういうことが得意な奴はいたが…

「で、この後の予定は?」

「予定の書き換えくらいだ。お前が予想以上だったからな…計画を練り直さねば。」

「な…何か悪ぃな。」

「何、気にすることはない。今日は自由にするといい。俺はこの刀を工房に持っていく。」

工房あるよなやっぱり。無かったらこんな大量に作れないだろうしな…

そういう職人仕事は憧れるが…まあ俺にゃ無理だ。手先は器用じゃない。

「じゃあ俺は…街ぶらつくか森ん中で鍛錬するかな。」

「姉妹とは行動しないのか?」

ニヤリと笑いながら言う士郎。

「からかうなよ…姉妹だけでする話ぐらいあるだろ。」

『あの2人は今宿にいるみたいですね。』

『急に話しかけられるとびっくりしますよ…てかそういうことも分かるもんなんですね。』

『端くれとは言え神ですから。』

「月斗?どうした?」

「あっ、大丈夫何でも無い。魔法の鍛錬するか肉体の鍛錬するか考えてただけだ。」

「熱心だな…どちらにせよ体には気をつけろ。」

「うん、分かった。」

「じゃあ、また後でな。」

そんな会話の後、士郎は霧雨の剣を持ち道場から出て行った。

第漆什参話 名刀の予感…? 完

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