第陸什捌話 まだ結婚してないのに命名2人目
「これはまた…すごい。」
結局あの後も何回か野獣に襲われて魔法を使っていた。とはいえ刀に比べたら回数は少ないけどね。
例としては…『葉刀』とか、『迅雷』『天光』…
「…古傷が抉られるような気がする。」
「お、大丈夫か?」
「大丈夫っす…まだ被害少ないんで…」
ある意味拷問に耐えながらはよ竹林見つからないかなぁと歩き続けること十数分。
「この辺まで来れば1人でも帰れるだろう。じゃあ夜中に1人で森を彷徨うなよ!」
「あ、は~い…結局街近くまで戻ってきちまった。」
さすがにもう眠いんだよな…自警団の人達も帰ったし寝たい。
「くぁ~…んー…おっお!?」
欠伸して涙が出た瞬間、誰かしらに足を引っ掛けられたように小石に躓いた。と同時にくすくすと少女のような笑い声が聞こえたような気がしたけど…疲れてるなこりゃ…
「痛…くない?ありゃ?んんん?」
転けて地面に腹這いになる筈だったのに普通に立ってる。いやそんなことより森全部無くなって竹林が竹林してるんだけど…打ち所悪くて幻想見てる?
「自分でも自分が何考えてるかさっぱりだ。」
『あの…大丈夫?』
「ああこれは親切にどうも…」
あれ、この声あの時の神様じゃね?なんでか耳じゃなくて脳に直接響いてくるけど。
『貴方がエビス様の…はじめまして。』
「は、はじめまして…」
綺麗な黒のセミロング。背中にあるあれは翼?純白の穢れを知らなそうな翼。眼は深紅、いや神紅色…とでも言おうか。
『諸事情により言葉を発することに抵抗があるので念話で構わないかしら?筆談も手話も可能だけれど…』
「大丈夫です。聞き取りやすい声?してるので構わないですよー。」
何かしら事情があるなら掘り下げない。そうしといた方がお互い気楽だ。
「えー…念の為一応お聞きしますけど御名前は?」
『まだ無いです。まだこの世に出でてそれほど経っていないので地上を探る眼としてここに来ました。』
「ありがとうございます。じゃあそのまま縮めて『地探眼さん』って呼んでも良いですか?」
すっげー安直な気がする。本人から苦情出たら変えよう。
『チグメ、それが私の名前…心から感謝します。大きな伝承も無く名前も無い小さな神はすぐに消えることが多いので。』
第陸什捌話 まだ結婚してないのに命名2人目 完
神様2人目命名と言うことで作者よりお知らせ。
月斗は漢字を使い命名することがありますが、今後は全てカタカナ表記で統一します。
漢字表記は必要なときだけに留め、その際にフリガナを振るのでご心配なく。
また、漢字を使わないカタカナやひらがなだけの命名、同音字の場合は読者様方の想像力で合いそうな漢字を当てはめてあげて下さい。それではまた。




