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第陸什陸話 気になるあの娘に聞いてみた

「そういやお前さ、名前あるのか?」

「んえ?なんだい急に。」

「いやふと気になって…」

脱衣所で服を着ながら聞く。こいつは上がった瞬間即乾いて服着てた。体拭いたりしなくて良いの羨ましいな。

「名前ー…あったような無かったような忘れたような…」

はっきりしねえなぁ。名前無いとさっきの神様と呼ぶときに分からなくなりそうなんだよなー…

「そうだ、ちょうどいいから君が僕に名前付けてよ!」

「はあ?何で俺が…」

「いいじゃないかー。そもそもこの世界の神ってほぼ皆名前無いし。」

名無しばっかりって用事あるとき困らないのか?それに俺ネーミングセンス無いからな。

「…文句言うなよ?」

「だーいじょうぶ!どんな名前でもどんと来いさ!」

「そんじゃあ…」

ちょっとは考えようとしたがやはりというか案の定さっぱり出て来ず、パッと思い浮かんだ名前を言ってみる。

「エビス。」

「エビス!良い名前じゃあないか!じゃあ僕はこれからエビス様だね?」

「あぁまあそうなるのか…今更様付けするのも違和感あるけどな。」

エビスって…戎?恵比寿?蛭子?まあどれでもいいか。なんにせよ読めて書ける奴いなさそうだし。

「そうだ、僕以外の神も大抵名前が無いんだよね。だからいつかどこかで出会うことがあったらそれぞれに命名してあげてくれないかい?」

「お、おう。いいぞそれくらいなら。」

なんか地味に大役のようでそうでも無さそうなものを押し付けられた気がする。

まあ適当にいこうか。

「ところで君は魔法使えるようになったのかい?」

「いやーまだじゃないか?それっぽく変わったことも無いし。」

「人目につかないとこででも試してきたらどう?正直そんなに期待してないけど。」

そこは嘘でも期待してるって言うべきところじゃあねえのかな…相変わらずストレートに言う奴だなほんと。

「まだ時間あるけど先に森行って試してみるか…」

「頑張ってね~。んじゃ僕は眠いしそろそろ帰ろうかな。また会おうねー。」

そう言って脱衣所から出るエビス。すぐに気配が消えたから本当にすぐ帰ったんだろうな。

第陸什陸話 気になるあの娘に聞いてみた 完

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