第陸什参話 こいつに一般常識を求めてはいけない
「もしもーし。」
「あ、もしもs…」
あれ、嫌に聞き覚えのある声。そんでやけに声の聞こえるところが近い。と言うことは
「はいそうでございます!お隣でございます!」
「神ィ!」
自称神、もう何度目か分からん降臨である。暇なの?
「そうです!神でございます!で、なんか用?」
こっちのセリフじゃ!
「俺呼んでねぇし呼べねぇし!来るなら来るって言え!」
「言ったら断るんじゃね?」
「まあ今は断るわな。風呂に浸かってるわけだし。」
「僕にもやることがあるんだ…分かってくれたまえ。」
わあー腹立つゥー!まあ落ち着け。こんな男か女かも分からん奴に腹を立ててもしょうがない…
「まあお前のやる事なんて俺からしたらどうでも…」
「まあ酷いっ!そんなことを言う子に育てた覚えはありませんよ!」
「お前に育てられたくねぇよ!そもそも父親なの?母親なの?」
「僕はおんなの子だぞ!」
「…女?ボーイッシュってやつか?」
「いやー、僕はめちゃくちゃカワイイ女の子だと思うけどね!」
…あいつから聞いたことがある。世の中には『雄んなの子』なる者が存在すると…『男の娘』の対極に位置する者だと…
「だからタオル胸まで巻いてるのか?」
「それ以外に理由無くないかい?それを言ったら君も巻いてるから女の子なのかい?しかもポニーテール。」
「タオル…は特に理由はない…」
何も無いわけではないが…見せるような事でもない。
「髪は?」
「いつの間にか伸びてて切るの忘れてたらこうなったから仕方なく。」
「こまめに切りなよー。僕は好きな長さに調整出来るから切らないけど。」
「まあ不便はないし。まだ切らなくていいだろ。」
髪切ってくれる人か店があったら頼もうか…
「結局用事は何だよ。」
「え、温泉入りに来ただけ。」
こいつ…あるのか知らないけど神界の統治してろ!
「暇か!帰れ!」
「暇だよ!帰らないよ!」
はあ…神も意外と暇神なんだな…
まあこれと言って害があるわけでは無いし…少しくらいならいいか…
第陸什参話 こいつに一般常識を求めてはいけない 完




