第陸什弐話 冬華さんは凄いらしい
で、1日かけて士郎の家の道場と畑を見てきたわけだが…
「ここで活動出来んのあと何日だっけ…」
「えー…ひーふーみー…3日程ね。」
短くね?
72時間で剣術と農業を一つずつ習得しろと…?
「ふむ…であるなら1日で剣術を全て叩き込んで残り2日で農業を覚えればよいな。」
ウソでしょあなた。武器への対処法以外知らないんだけど俺。全く扱えないんだけど?
「よし、じゃあ俺と月斗は宿からここへ通う。二人はどうする?」
拒否権無しッ!まあ俺のためでもあるし…
「そうねー、観光かしらね。」
「道中色々お店ありましたし服も新調したいですからねー…」
この姉妹を止める手は無い。ので自由にさせとこう。
「あー、ジャージが欲しいー…」
そんなことをひっそり呟きつつ冬華さんの宿へ…
♢ ♢ ♢
「あら、お帰りなさーい♪ご飯にする?温泉にする?それとも…和、菓、子?」
「選択肢が晩飯と風呂と菓子のパターンは初めてですよ。個人的には風呂ですけど。」
「あら、私でもいいのよ?私、着痩せするタイプだから色々凄いわよ?」
うん、なにが凄いのかは聞かないでおきましょう。下手に答えると先に入って待ってるとかありそうだ。
「それなりにあるわよ私?」
「いえ、そういう問題ではないので。有ろうが無かろうが関係ないっす…」
そもそもそれは女将が言うような台詞では無いだろう…
と、ここで冬華さん経営の旅館、『白玉桜』の温泉を少しご紹介。
如何にも和風と言わんばかりの露天風呂。敷いてある石は磨き抜かれていて顔が映りそう。
硫黄っぽい匂いもしてるし美容にも効果有るんじゃないかな。分かんないけど。
ザバシャー…
「ふぅ…さて、体と頭も洗い終えた。いざ、浴槽へ…」
浴槽内は深い場所と浅い場所があり、深くなるにつれ温度も高いようだ。油断してると火傷する。
そしてどうやら1番深い場所の奥にある壁の向こう側が女性風呂のようだ。つまり、覗くには『火傷確定の高温+2m近くある深さ+3m程度の壁』を乗り越えて行く必要がある。
「あんな所まで行って覗く馬鹿は流石にいないだろ。俺も覗く気はないし。」
第陸什壱弐話 冬華さんは凄いらしい 完




