第伍什捌話 真逆のものを両方極めるって難しい
この世界にはメモ帳のような物はあるのだろうか?出来れば欲しいが…紙はあるから最低限のを作ればいいか。
「さて、実家に着くまで少し時間があるから二つ目の剣技を教えておこう。」
「あ、はい。」
「二つ目の都市セイスイに伝わる剣術で、名は水制剣。束から水を放ち相手の攻撃を受け流す技だ。」
受け流す…力押しの炎の剣とは対照的だな。
「でも、それって剣が錆びやすくなったりしませんか?恥ずかしながら武器の扱い方には詳しくないもので…」
「大丈夫だ。東一帯には独特な地質があってな。採れる場所によって鉄の特性が違うのだ。」
へぇー。なかなか面白いものを使ってるんだな。同じ国でも違う環境を武道に利用する。先人は偉大なり…
「この辺りなら熱に強い…とかですか?」
「セイスイならとても錆びにくい、だな。」
水なら氷とも相性良さそうだし、反撃を狙うことが多い俺の戦い方とも合ってる。
となるとこれを習得することになるわけだ。服とかすごい濡れそうだけどね。
「ところで東にはいくつ剣術があるんですか?まだまだ属性はありそうですけど。」
「大きな都市があるならそこに一つあると思っていい。そして東には5つの大都市がある。」
「即ち5属性…炎と水、あと3つかー。」
火と水で残り3つなら五行かな?火、水、土、木、金になるわけだけど…予想つかないのばっかり残ってるわ。
「残りは小さな村や放浪者が独自に編み出した派生形が無数に存在する。その辺は開発者しか習得できないようなものだな。」
「ほうほう…まずは基礎を学ばないとダメって事ですね。訓練期間は短いし他にやることもあるからのんびりはやってられないな…」
「俺も全力でお前に叩き込んでやるつもりだ。覚悟はしておけ。」
この世界に来てまで学ぶものが武と農とはね…対極でしょこの2つ。
「では、一刻も早く到着して目的の達成へ駒を進めるとしよう。」
あ、完全に聞き忘れてたけどセイスイって『青水』こう書くのかな?まあこうしておこう。
第伍什捌話 真逆のものを両方極めるって難しい 完




