第伍什漆話 東の武術について知っておこう
「それで、どこに行くんです?」
路を行く馬車の上で問う俺。
「ああ、俺の実家だ。」
手綱を取りながら答える士郎。
「すやぴーーー…」
心地良い風の中寝るシエル。
「すーー…すーー…」
落ち着く揺れの中寝るエミリアさん。
この姉妹よくそんなに寝れるな。
「実家?」
「ああ、俺の実家は有名な道場であると同時に大きな田畑を所有している。作物の学と修行、どちらも得られると思ってな。」
「はあ、なるほど。それで案内役兼師匠な訳ですか…」
「そういう訳だ。」
こんな農業に縁もゆかりも無さそうな人が何故案内役なのかとは思っていたがそういうことだったのか。
「確か俺の出生地は知っているはずだが…」
「確か、セキエンでしたよね。どんなところなんです?」
感じで書くと恐らくこう。『赤炎』字面からして暑そうor熱そうなところだ。暑いのは勘弁願いたい…
(以下、赤炎と記述します)
「うーむ…どんなところ、と言われると…」
「こう、武術とか特産品とか。」
「武は焔繰剣術が一般的だな。その名の通り焔を剣に纏わせて一太刀に灼き斬る剣だ。」
やっぱ炎系かー。俺に合うんですかねー…あの人曰く氷結持ちらしいけど。俺溶けちゃいそう。
「強そう…というか使えますかね、俺に。これ、知り合いが作った特殊な魔力紙なんですけど。」
一応持って来といたクレアさん特製魔力紙を見せる。
クレアさんが言うには『一応何かあった時用に身分証明書になる!かも知れません!』らしい。
「ほう…氷結の秘能となると…」
「相性とかあるんじゃないかなと思いまして。」
「そうだな、これなら別な方を修めた方が良いだろうな。ちょうどよく水系の剣技がある。」
あ、あるんだ。まあこんなデカい里1属性じゃあやってけないよなぁ。
「他にもあるんですね。いくつあるんです?」
「良い機会だ、東一帯に伝わる剣技に関する知識を教えておこう。」
「よ、よろしくお願いします。」
勉強は苦手なんだがなぁ…
第伍什漆話 東の武術について知っておこう 完




