第伍什肆話 犯人は現場に戻…ってきた
「…どういう状況?」
何故この姉妹は俺の前に正座しているのだろうか…あれは今からちょっとくらい前。
「じゃあ…いいですよね?」
「え…あれ?」
俺は絶賛シエルに襲われていた…はず。それでその時シエルに違和感を覚えたんだ。
「なあ、シエル。丹田の辺り、臍の下。」
「何のことです?何も無いと思いますが…」
「あー…自分じゃ気付いてないタイプか。すまん、ちょっと捲るぞ。」
浴衣を捲ってみる。
「んー…大胆ですね…」
「はいはい。あ、なんかあった。」
なんか書いてある…え、これ漢字?
「あー…『欲情』?それにしても字汚ぇ…」
何だこれ?異世界系特有の呪いとかそんなやつ?『呪いだからそれをかけた奴を倒さないと解除されないよ』的なやつ?だとすると物凄い面倒なことにならない?
「何か…あったんですかぁ?」
「まあ…在ったというか無かったというか…」
「はっきりしませんね。じゃあこの体に聞いてみましょう♪」
「おいッ!流石にこれ以上センシティブな展開はマズいって!」
俺の浴衣を脱がせにかかるシエル。流石に俺の方が力は強いのでそう簡単には脱がされん。
「ふぬぬぬぬ…」
「うむむむむ…」
いや…シエルってこんなに力強かったっけ…隠れマッスルってやつかな。これも呪い(仮定)の効果なのかね…
「そ、それを消せば元に戻る…と思っておこうか。」
「何を言っているのかよく分かりませんけど早く諦めて下さい!」
「それはならんと言ってるでしょうがッ!」
てかあれ拭いたりするだけで取れるの?取れるというか解呪?それはそれとしてタスケテッ!
「シ、シエル…ちょっと待って…その前に水飲ませて…」
「まあ、それくらいなら良いでしょう。」
とりあえず水を持つことには成功した…が、すまん!シエル!
「きゃっ!?」
「なんかありがちな展開だけど関係ない!拭かせて貰うぞ!」
わしわしごしごし…
「こんなもんか…つっても消えたのは七割程度か…」
「それで…何故こんな事に?」
「いやそれ襲った側が言うことじゃないでしょ?」
ガラッ
「なんでそうなるのよー!」
「は?」「え?」
「あっ」
犯人って意外と身近なところにいるもんですね。
第伍什肆話 犯人は現場に戻…ってきた 完




