第肆什弐話 夜、ベッドで。
「只今…流石にもう寝ちゃってるか。」
エリナとの話を終え、部屋に戻って来た時には既に二人の姿は無かった。
「さて…俺も明日に備えて寝るか…」(月斗と姉妹の寝室は別々)
寝室に入り、ベッドに潜り込む。そこで何か違和感を感じた。「よっこらしょ…ん?なんかベッドが暖か…」
「こんばんは!」
「…」←月斗
「…」←シエル
「…シエル。お前はここで何をしているんだ。」
反対側を向くと、なぜかそこにはシエルが居た。
「何って、月斗さんが寒くないようにお布団を温めているんですよ?」
「…うん。なるほど。分かった分かった。んじゃ俺はソファーで寝るわ。お休み。」
布団から起き上がり、部屋の隅にあるソファーに向かう。
「ああ~!ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ~!」
「…何だ。」
「駄目ですよぉどこか行ったら。月斗さんの寝る場所はここなんですから。」
そう言いつつ寝転がりながら布団をぽんぽん叩くシエル。…何を考えているんだ?
「うん、とりあえず俺の布団から出ようか。」
シエルも起き上がり、ソファーに座る。
「さて、まず初めになぜ俺の布団に潜り込んでいたのか聞こうじゃないか。」
「だからぁ、月斗さんが寒くないように…」
「うん、それはいい。さっき聞いた。で、それ以外は無いのか?」
「?」
…なんでこいつは「それ以外の理由なんてありませんよ?」とでも言わんばかりの顔をしているんだ…
「とりあえず部屋に戻りなさい。エミリアさんが心配するぞ?」
「お姉ちゃんには許可を取ってきましたから大丈夫です!」
俺が大丈夫では無いのだが…あの人もあの人で何で許可出してるんだよ…
「俺は明日早起きしなければならない。だから部屋に…」
「私が優しく起こしてあげます!」
「…」
「ほらぁ、どこにも一緒に寝ちゃいけない理由がないじゃないですかぁ。」
「じゃあ、せめて同じベッドは勘弁してくれないか?」
「む~…じゃあじゃあ、同じ部屋なら良いですか?」
「ああ、それなら何とかギリギリ…」
「しょうがないですねぇ…」
「じゃ、お休み。」
「はい!お休みなさい!」
結局、シエルは俺のベッドで、俺は同じ部屋のソファーで寝ることになり、王都での2日目は過ぎていった…
第肆什弐話 夜、ベッドで。 完




