第参什玖話 まさかの再会
「むぐむぐ、そういえひゃつきとふぁんふぁゆりひあふぁんとなにふぉはなしていふぁんですふぁ?(むぐむぐ、そういえば月斗さんはユリシアさんと何を話していたんですか?)」
「話すときは口の中のものを飲み込んでから話しなさい。」
「あ、私も気になります。」
「んぐっ、で、何を話していたんですか?」
「ああ、それはあれだ、シエルの事だ。」
「私の事?」
「あれだ、あいつが言うにはシエルは筋はあるらしいんだが、張り切りすぎ、とのことだ。」
「あらぁ~、それはいいことじゃな~い!」
「え?」
「だって、シエルは練習次第でとっても弓が上手くなるかもしれないってことでしょう?」
「は、はあ…」
「やったあ~!わたし筋が良いんですって~!」
「お、おい…」
「やったあ~!ばんざ~い!」
…落ち着かせるのは無理そうだから忠告だけはしておくか…このままにしておくとあいつが倒れそうだし。
「まあ、頑張るのはいいことだが、あまり張り切りすぎるとあいつが倒れるから、ほどほどにな…」
「わっかりましたぁ~!わ~い!」
「…。あ、すいません、唐揚げ追加で。二つお願いします。」
さて、俺はこの二人のテンションを静めることができるだろうか…
♢ ♢ ♢
「っあ~♪食べた食べたあ~。やっぱり、あそこの料理は最高だなあ~♪」
「ふう…疲れた…」
何とか時間をかけて落ち着かせることに成功した訳だが…
「じゃあ、お城に帰りましょうか!」
「う~ん…先に二人で帰っててくれないか?ちょっと用事があるんだ。」
「…?はい。じゃあお姉ちゃん戻ろっか♪」
「そうね。月斗さん、なるべく遅くならないように戻ってきてくださいね?」
「ああ、わかってる。じゃあな。」
城の方に駆け出していく二人を見送り、逆側に歩き出す。町の外に出て、森に入ったところで、
「…で、何の用だ?」
「あはは、ばれてたのか。」
「当たり前だ。結構前から気づいてたぞ?」
そう、俺の用事とは、こいつの事である。
俺をわざとではないとはいえ殺害し、こっちに連れてきた張本人。自称『神』である。
「いつからわかってたんだい?」
「そうだな、クレアの実験の後くらいからだな。」
「あちゃ~、じゃあ、結構前からばれてたんだねぇ♪」
「全く…」
「あっはっは♪ごめんごめん。」
…やっぱりこいつとはどうにも反りが合わん。こっちのペースを乱される。
「…で、何の用だ?」さっきも同じセリフを言った気がするが…気のせいだろう。
「ま、そろそろ本題に入ろうか。」
第参什玖話 まさかの再会 完




