第参什参話 城の魔術師
「弓を練習するってどういう…」
「つまり、ベリルさんのような人が居るのなら、凄く強い弓使いさんも居ると思うんです!」
「ほう…それで?」
「足手まといにならないように、その人に弓を教えてもらおうと思ったんです!」
「…それでその弓使いとやらは、どこに居ると言うのかね?」
「それは今から探します!」
「今からって…」
まさか無計画だったとは…まったく…
「じゃあ、行きましょう!」
掛け声と同時に城の廊下を駆け出すシエル。
「おい、待て!誰かにぶつかったら危ないだろ!」
そんな叫びも届かず、シエルは走る。
「はぁ…しゃあない、追いかけるか…おい、待てって!」
走って行ったシエルの背中を追いかける。
「待てませ~ん!私を待ってる人がきっといるはずなんです~!」
だからどこから来るんだその自信は…
と、その時。
ドシャーン「「きゃっ!?」」
「ほら言わんこっちゃない…大丈夫か?」
「うにゅ~…」
シエルを引っ張り起こし、ぶつかったであろう人に手を差し伸べる。
「大丈夫ですか?」
「あら、これはすみません…」
「申し訳ありません…」
「いえいえ、私も考え事をしていて前を見ていなかったものですから…」
「ほら、お前も謝るんだ。」
シエルの頭を下げる。
「ごめんなさい。人を探していたので…」
挨拶をしてから気づいたが、その人は金の縁取りの施された紫のローブを羽織っていて、いかにも魔術師です、と言わんばかりの装いだった。
「あら、あなたたちは…えっと…あ、そうだ。王様が呼んだ方たちですね?」
「ええ、そうです。」
王様から俺たちを呼んだことを知っている、ということは、地位はそれなりに高い人のようだ。
「初めまして。私はクレア。この城で魔術師部隊の隊長をしております~。」
「ああ、これはどうも。俺は月斗。こっちが…」
「シエルです!よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします。そういえばさっき人を探している、と言っていましたが、だれを探しているのですか?」
「ああそれは、このシエルが…」
クレアさんに探している人材やらその理由を一通り説明した。
「…と、いう訳なんです。」
「なるほど…う~ん…その人材なら一人心当たりがありますよ?」
「ほんとですか!?教えてください!」
「いいですけど一つ交換条件があります。」
「それは一体…?」
少し疑いながら聞いてみる。
「私の実験に付き合ってもらいます!」
第参什参話 城の魔術師 完




