第弐什陸話 城へは裏口から
「さあ、着いたぞ。」
そう言うヴェリウスの声で目が覚める。いつの間にか眠ってしまっていたようだ…
「ん、着いたか。」
馬車から降りると二日前に見たものと全く同じ光景が広がっていた。
「またすぐここに来ることになるとはな…」
「こんなすぐにまた王都に来れるとは思ってませんでした〜!」
「久しぶりに来たわねぇ。何ヶ月ぶりかしら〜」
俺がこのテンションの低さなのにこの姉妹のテンションときたら…
「そういえば…」着く少し前から気になっていたことをヴェリウスに問うてみる。
「流石に滅多に入れない城に普通に一般人が入るのは不味いんじゃないか?」
「ふむ、ならば、裏口から回り込んで入るとしよう。」
「裏口?裏口があるのか?」
「ああ、この城には緊急用の出入口が幾つもあるんだ。」
そんな重要なもの一般人に教えてしまっても良いのだろうか…ま、王の命令とあっちゃ、仕方ないか。
「お〜い、二人共、行くぞ〜」
「「はーい♪」」
ヴェリウスの後に付いて歩くこと数分…人通りの少ない路地に入り込む。
「さ、ここだ。」
そう言いながらヴェリウスが指した指の先には壁が広がっているだけだった。
「なんにもないですよ?」
「ああ。一般人には解らないようにしてあるからな。」
ヴェリウスが壁に向かって話しかける。合言葉のようなものなのだろう。すると…
ガチャン
何か機械の稼働音のようなものがして壁が左右に開き始める。扉が完全に開ききったのを確認してから、
「よし、行くぞ。」ヴェリウスが歩き出すのに付いて扉の中に入る。
「おお〜。すごいですねぇ。王都にはこんなところがいくつもあるんですねぇ。」
シエルが驚いた様子で周りをキョロキョロ見ている。
「ここは暗いからよそ見すると危ないz…」
ドサッ
「むきゅ〜」
「…遅かったか。」忠告も虚しく顔面からシエルがずっこける。
「ほれ、大丈夫か?」こけたシエルに手を差し伸べる。
「うう、ありがとうございます〜」
「大丈夫か?ほら、もうすぐ着くぞ。」
急に目の前が明るくなる。どうやらここから先が城の中のようだ…
「さて、面倒なことにならなければ良いんだが…」
しかし、そんな期待はこの姉妹によって打ち砕かれることを俺はまだ知らない…
第弐什陸話 城へは裏口から 完




