第弐什参話 騎士たちの訪問
「…さん!起きてください!月斗さん!」
誰かの声が聞こえていると思ったら体がブルンブルン揺れる。
「ッ…!?」
相当焦っていたのだろう。かなり深い眠りについていた俺の睡眠はシエルの金切り声によって叩き起こされる。
「何だ何だ!?」
「話は後!早く来てください!」「えっちょまっ」
何も言う隙もなくシエルに強制連行される形で腕を引っ張られ、村の入口に連れて行かれた。
「ふわぁ〜…一体何だ…」欠伸をしながら問うてみる。
「あれ!あの人達ですよ!」シエルはかなり興奮した様子で指を指す。
眠い目を擦りながら指で差された方を目を細め凝視する。そこには村長が鎧を纏っている騎士のような人物数人と話している。
「王都直属の騎士隊ですよぉ!」
「ああ…おうとちょくぞくの…!?王都直属の騎士隊だと!?」
さっきまでの寝ぼけた頭と寝ぼけ声で状況を見ていた自分を殴りたいほど、目が覚めた。
「どうしてそんな奴らがこんな辺境に!?…いや、待て。まだ慌てるような時間じゃない。」
向こうの世界で培った落ち着く方法を使い、平静を取り戻す。
「なんでも、最近王都に来て芋を売って行った商人を探しているんだとか…」
「…それって、俺らじゃないか?」
「え?」
「だって王都の酒場で芋を売ったよな。」
「言われてみれば…」
そこに彼らから話を聞き終えた村長が戻ってきた。
「どうやら芋を売った商人を王が探しているようで…すまんが行ってきてくれんか…」
「なんで探しているんだ?」
「それは私の方から説明しよう。」突如声のした方を振り返ると蒼髪蒼眼で軽めのチェストプレートにレギンス、ガントレットを身に着け、背中にぱっと見130センチぐらいのグレートソード?というのだろうか。まあ、巨大な剣を背負っている騎士が立っていた。
第弐什参話 騎士たちの訪問 完




