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第弐什壱話 帰村とテト

「ただいま〜」

「只今戻りました」

王都での物品売却を終えた後、必要なものを買い揃え、村に帰ってきた時にはもう日が暮れていた。

「おかえりなさい。もうご飯できるからお風呂行ってきなさい。」

「は〜い!」

元気に温泉に行く支度をするシエルを見て俺はこう思った。

「またアレか…」

前回の入浴で相当疲れた俺はかなり参っていた。まあ、泊めさせてもらってるし、服も食べ物ももらってるし、拒否ると面倒なことになるだろうから従っておこう…

「じゃ、いってきま~す!」

「行ってきます…」

「はい、行ってらっしゃい。」



 ◇ ◇ ◇



「らっしゃい!」

「お邪魔します。」

「おっ風呂♪おっ風呂♪」

「今日はテンション高めだね。なにか良いことでもあったのかい?」

「ああ、それは…」

「二人で王都まで行ってきたんです!」

「なるほど。王都は今まで一人で行っていたんだもんね。」

そんな他愛もない話をしていると、

ニャーン

「?猫がいるんですか?」

「ああ、居るよ。もうすぐここに来るんじゃないかな。」

トテトテトテトテ

「お、来た。」

二階の階段から降りてきたその猫は体は黒いが足先は白い所謂『靴下猫』だった。

「こいつは雄ですか?雌ですか?」

「こいつは雌だよ。実家から連れてきた…いや、ついてきた、という方が近いかな。」

薫さんの実家は東の方の国らしいからそっちには猫がいるのであろう。

「うおっ、なんだお前いきなり。」

その猫は俺を見るなり肩に飛び乗り顔を擦り付けてきた。

「ははっ、気に入られたみたいだね。そいつの名はテト。母がつけたらしいんだが…何から取った名かは分からないんだ。」

テト…?その名には覚えがある。おそらくエジプトの神、バステト女神だろう。ほんとにそうかは分からないがそうだとしたらなぜ薫さんの母親はバステトを知っていたのか…ま、そんなこと知る由もないか。

「早く早く!」

「おう、今行く。じゃあ、いってきます。」

「うん、温まっておいで」

テトを肩から降ろし脱衣所へ向かった。

第弐什壱話 帰村とテト 完

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