第什玖話 王都のギルド
「大丈夫ですか?」
「ああ、なんとかな。」
とりあえず盗賊を撃退して進み始めた。
「いつもこんな奴らと戦っているのか?」
「いえ、いつもは村長特製閃光玉で目眩ましして逃げてます。」
あの村長そんなものまで作ってるのか。意外と器用なようだ。
「あ、見えてきましたよ!王都ベルセリオスです!」
おお、あれが王都か。王都、と付くだけあってかなり大きいな。そのまま進むと段々、大きな門が近づいてくる。
「通行証は持っているか?」
「はい。持ってます。」
そう言いながらシエルは懐から小さなパスポートのようなものを取り出した。
「積荷とその用途は?」
「野菜や薬草でギルドや酒場に売りに行きます。」
「よし、通っていいぞ。」
兵士が合図すると、大きな門が開き始める。
門が開ききるとそこには冒険者や商人、町人が行き交う活気のある街があった。
「さて、じゃあまずはギルドに薬草を売りに行きましょうか。」
「ああ、そうだな。」
「ギルドはこの街の真ん中の方にあって、効果の高いハイポーションを作るために希少な薬草であれば高値で買い取ってくれるんです。」
「へぇ…」
◇ ◇ ◇
「さて、着きましたよ。」
流石王都のギルド、かなり大きい。腕のある冒険者がたくさんいるのだろう…
「じゃあ、薬草を荷台からおろして鑑定してもらおうか。」
籠を担いで扉を開け、『買い取り』と書かれたカウンターの前に持っていく。
「この薬草、買い取りお願いします。」
「は〜い。品質を確認するので少しお待ち下さい。」
「これで後は待つだけですね。」
シエルと他愛のない話をして時間を潰していると、
「薬草の鑑定終わりましたよ。」
「あ、ありがとうございます。今行きます。」
「どうだった?」
「いつもより高く買い取ってもらえました。そんなに薬草が足りていないのでしょうか?」
「ま、なにはともあれ後は酒場に野菜を売りに行くだけだな。」
「そうですね!じゃ、早く終わらせてしまいましょう!」
第什玖話 王都のギルド 完




