第什捌話 盗賊と戦闘
村長に見送られながら村を出て10分ほど立っただろうか。こんな辺境にも街道のようなものはあるのか。
「このまま街道沿いにしばらく行けば着きますよ。ただ…」
「ただ?」
「たまにここを通る人を狙う盗賊が出るんですよね…王都のギルドでも対処しているみたいですが一向に減らないんですよね…」
その時、
「ッ・・・!?誰だ!」
「命が惜しけりゃ積荷、全部置いて行きなぁ。」
なるほど、こいつらか…
「月斗さんは下がっていてください!」
「そんなわけには行かないだろう!少しは俺も戦える!」
前の世界に居たときには親にボクシング、柔拳、柔道を習わされていたから対人戦闘には少し自信がある。
「ほぉ…俺たちに楯突くつもりか?その時は命がないと思え!野郎ども!やっちまえ!」
「来るぞ!気をつけろ!」
人数は全部で10人で短剣持ちが5人、弓持ち3人、魔道士が2人。武器持ちと戦うときは武器を腕の延長だと思えと教わった。そんな機会なんて無いだろうと思っていたが…こんなところで役に立つとは。
「私は後ろの人達を相手します!」
「くれぐれも怪我はするなよ!」
とりあえず刺突相手に対しては柔拳でいなして投げて気絶、でどうにか出来るが、問題は切り相手だな。
持ち手の方によければ袈裟斬りは避けられる。切り返しや薙ぎ払いは少しきついかな…
ボクシングのステップと柔道の足捌きの応用で躱して鳩尾に一撃叩き込めばなんとかなるだろう。
「喰らえっ!」「オラァ!」向こうは殺す気で切りかかってくる。
「ふん!」「ぐおっ!?」「それ!」「ごふっ!?」
よし、近接は片付けた。次は遠距離側だ。
「ファイアボール!」「熱っ!?」火の玉が顔の横をかすめた。
これが魔法というやつか。聞いては居たが見るのは初めてだ…
近接がやられたのを見て数人が撤退の準備を始めている。もう少し脅せば逃げていくだろう。
「まだやるか!決着は付いただろう!」
「くそっ…撤退だ!」倒れた近接を担ぎ、森の中へ逃げていく。
はあ疲れた。確かにこれはめんどくさい。ギルドが動くのも当然だ。
第什捌話 盗賊と戦闘 完




