孤独
掲載日:2021/12/14
田所かなみは、孤独だった。
彼女には、友人と呼べる友人はおらず、また、恋人もいなかった。
彼女は元来人見知りな性格だったので、学生時代も、友人を作るのに苦労したものであった。
22歳になった今でも、その傾向は変わっていない。
彼女は通り過ぎる人々に、目を向けた。
例えば、マフラーを巻いて、パーカーを着ている男性。
あの人が、私の恋人だったら、良いのに。
彼女はふとそう思い、何を馬鹿なことを考えているんだろう、と苦笑した。
彼女には、そんなふうに妄想してしまう癖があった。
もちろん、誰でも良いという訳ではない。
ある程度は自分の好みに叶った人を、彼女は選んでいた。
でも、と彼女は思った。私には家族がいる。
私はまだ本当に孤独では無いのだ。
帰ろう。家で待っているはずの家族の顔を思い浮かべた。
彼女は早足で夜の闇に消えていった。




