名探偵は忍者の必殺技に振り回されています
なろうラジオ大賞2第二十三弾。テーマは『名探偵』『忍者』『必殺技』の三題噺です。
新たな方向性を開拓すべく、ちょっと大人な展開を含めてみました。ほんのりなので大丈夫かと思いますが、一応15禁を入れています。
少年漫画程度のお色気をお楽しみください。
僕は探偵だ。
一般的に探偵と言えば、素行調査や浮気調査など地味な仕事を行うものだ。
だが僕はドラマのように、時々警察から難事件の依頼を受けている。迷宮知らずの名探偵と、中々の評判だ。
それもこれも優秀な相棒のお陰だ。
「お館様。件の事件の凶器、仰った通り川底で見つけました」
「相変わらず凄いな霞。警察が一月かけても見つけられなかったのに」
「お館様の推理が有れば、忍者には朝飯前です」
そう、霞は忍者だ。生まれた時から重ねた修行で超人的な身体能力を身に付け、僕の仕事を助けてくれている。事務や営業もこなし、仕事の相棒としては文句の付けようがない。
ただ一点、問題がある。それは霞の『必殺技』なのだ……。
「何だよ探偵さんよぉ! 俺がやったって証拠でもあるのか!」
「霞」
「はい」
霞がケースから凶器を取り出す。犯人の指紋の鑑定書付きだ。
「な……! 見つかる訳が……」
「大人しく捕まってくれないかな。君の為にも」
「ふざけるな!」
「お館様、この男……」
まずい! 殺気だ!
「死ねコラァ!」
「斬ってよろしいですね!」
「駄目だよ! 殺さないで!」
制止は届かず、嬉しそうに霞が飛びかかる! 男はナイフを手にしてはいるが、勝ち目があるはずがない! 惨劇が始まってしまう……!
「お館様」
「か、霞……」
事務所に戻ると、霞が燃える瞳で迫って来た。
「今日の働きは如何でしたか」
「あ、うん、助かった。犯人も確保したし……」
あの後僕の必死の制止で、何とか半殺しで止められた。男も刃物を出していたので、正当防衛も認められた。でも問題はこれからだ……!
「有り難き幸せ」
顔を綻ばせる霞。だが瞳の焔は、色を増している。
「ではお館様。褒美に今宵こそ伽のお申し付けを」
「え、ちょ、何で……」
「以前より申し上げている通り、伽は知識と訓練ばかりで、実践は未経験。この技を修めねば、お館様の忍びとして恥じるばかりで」
「だからそれは急がなくて良いと何度も」
「それに戦いを半端で止めると、こう、滾りが収まらず……」
未経験同士のはずなのに圧される! こんな飢えた猛獣同然の霞と事に及んだら、色んな意味で殺される未来しか見えない!
「では、お館様」
「待って! 明日は早くから仕事があるから!」
「……仕事とあらば致し方ありません。熱を覚ますべく、少し走って参ります……」
とりあえず今日は助かった……。だけど霞は犯人を殺さず捕らえる度に伽を求めてくる。夜の必殺技に追われる日々はまだ続く……。
読了ありがとうございました。
新境地、いかがでしたでしょうか。え? エロさが足りませんか? 今はこれが精一杯……。
テーマを掛け合わせると、あれこれ考えられて楽しいですね。今後はこの方向で書いてみようかと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。