このバーベキューは何かがおかしい! 1日目
キャンプ編の始まりです。
少し長くなりそう……
俺たちは今、山の中にいる。
「もうそろそろこの肉は食べれるんじゃないかな?」
「そうですね、これは俺が貰いますよ」
「あたしもちょうど食べごろだぞー」
「部長を食べることはできませんよ。巨人じゃあるまいし」
「わかる。あたし巨乳だもんな!」
「……ふっ」
「おい、てめぇ今鼻で笑ったな! ぶっ殺――――」
そう、山の中にあるキャンプ場でバーベキューをしていた。
◇◇◇◇◇
二週間前
「おっ」
「あ、部長。奇遇ですね」
俺は文房具を買いに近所のイ○ンに来ていたのだが、ちょうどそこで部長とばったり会った。
「お前は何しにここへ?」
「某テレビ番組みたいな質問の仕方ですね……凜から頼まれた文房具とか、いろいろ買いに来たんですけど」
「あれ? 抽選会じゃないのか?」
部長は意外そうな顔をして答えた。
休日ではあるものの、妙に人が多いなと思ったら、そういうことだったのか。
「てっきり、翔真も抽選会目的で来たのかと思っていたんだけどな」
「いやー、そもそもそんなものがあるなんて知りませんでしたからね」
すると、部長は何かを思い出したかのようにふと尋ねてきた。
「なぁ、そのビニール袋にそれらしい紙は入ってないか? 入ってるならたぶんそれが抽選券だと思うんだけど」
確かにビニール袋の中に身に覚えのない紙が何枚か入っていた。
それを一枚手に取ってみると、大きく「抽選券!」と書かれている周りをカラフルに彩ってある薄い紙切れ。
「ほら! やっぱり抽選券だっただろ?」
と、無いはずの胸を張り、何故か得意げの部長。
「無い胸は張れないですよ」という言葉を喉奥に押しとどめるのが大変だったとだけここで言っておく。
「あたしは今から行くけど、一緒に行くか?」
俺の心の内など露知らず、抽選会に誘ってくる部長。
この後特別な用事がある訳でもなく、残すのは帰るのみだった俺は誘いに乗ることにした。
「せっかくだから行きましょうかね」
「よしきた!」
こうして俺たちは抽選会場へ向かった。
抽選会場にたどり着くと並ぶのが嫌になるほどの列が出来上がっていた。
「こりゃ、三十分は並ぶな」
「これで手に入った景品がポケットティッシュだったら流石の俺でもキレますよ」
「あたしに言うなよ。てか、くじ引きや抽選ってそういうもんだろ。当たらないとわかっていてもそこに可能性を求め続ける。それが世の常だろ!?」
いや、知らんがな。
――――こうして待つこと数十分。
「やっとであたしの番だな」
腕まくりまでした部長だったが、ガラリと音を立てて回した一回目。
「これは……そんな一回目でとはな……」
「部長。なんか大げさに言ってますけど、出たのは白玉ですよね?」
「あたしからすれば、白玉なんてものが出る方が珍しいのさ」
「御託はいいので、早く二回目も回してくださいよ」
「まぁまぁそう急かすなよ……よく見とけよ、あたしの雄姿をっ!」
手元のティッシュが二つに増えたのは、もう言うまでもないだろう。
「くっ……なかなか粘るが、これで終わりだ!」
そして、三枚の券をすべて使ったことで部長の抽選会はあっけなく終わった。
残ったのはスポンサーの広告紙が入ったポケットティッシュ三つと、部長の唸り声だけ。
「こんなはずではなかったんだが……あたしの運も使うんだ!」
「白玉しか出ないような部長の運なんて要りませんよ」
「ひでぇ」
そんな軽口をたたき合いながら軽い気持ちでくじを引いたのだが……。
「お、おめでとうございます! 一等賞です! 一等賞が出ました!」
係の人が驚きに目を見開いて、机に置いてあったベルを鳴らす。
俺も部長も一瞬何が起こったかわからず、互いに顔を合わせること数分。
やっとで自分が一等賞を出したということを理解した。
「一等って本当に存在してたんですね」
「あぁ。あたし、本物の金玉を見たのは初めてだよ」
「間違ってはないんですど、誤解を招く可能性があるので、とりあえず口を慎んでください」
こんな時にも関わらず、いつもと変わらない部長にツッコミを入れる。
そして、そんなこんなしているうちに慌ただしく動き回っていた係員からついに「一等 一泊二日キャンプ場無料券」と書かれた封筒を渡される。
その後、俺と部長は驚きと興奮が冷めないうちに近くのベンチへと移動した。
「なぁ、翔真」
「何ですか?」
「その券を出したのはお前だから、どう使うかはお前の自由だけど、一つあたしから提案がある」
そもそも出るとは思っていなかった俺は、使い方も考えていなかったため、頷いて続きを促す。
「せっかくだから遥と彩乃を誘って、自由部のメンバーで行かないか?」
部長の口から出てきた最高の提案に、俺は考える余地もなく大きく頷いた。
先輩二人のせいでかなり親交が深まっているが、実はまだ入部してから少ししか経っていない。
より互いのことを知るには絶好の機会だろう。
こうして俺たち四人はキャンプ場へと向かうことになった。
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