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この部活は何かがおかしい!  作者: 高坂あおい
12/61

部長の本は何かがおかしい! 二部目

「で、俺が来るまでにどこを探してたんですか?」


 何故か自由部と睦月さんで部長のラノベを探すことになってしまった今日この頃。


「部室の本棚、段ボールの中はこれで全部確認したわ」

 

 自由部の部室にある本棚は(主に部長のラノベ収集癖のせいで)文芸部が有する数よりも多い。

 その上、ダンボールには色々なものがごちゃ混ぜに入ってる。

 それを全て確認したということは、かなりハイスピードに作業をしていたということだ。

 口には出さないが、心の中だけでお礼を言っておく。


「……なるほど。ということはこの部室の中にはたぶんないでしょうから、外に探しに行きましょう」


 そもそも、今日部長が紛失したと言っているのに、段ボールや本棚に入っているなんてことはないだろう。

 

「っていうか部室外を探すって言っても、あまりにも範囲が広すぎない? 最悪、今日は学校に泊まることになりそう」


 そう言ったのは遥だが、言っていることはもっともだ。

 俺たちが通っている湯京高校は県内でも屈指の広さで、東棟、西棟、美術・部室棟、体育棟の四棟もある。それらを全て手当たり次第に探し回るのなら、確かに途方もない時間がかかる。


「いや、全てを探す必要はないんじゃないか? 例えば……部長」

「なんだ?」

「今日は体育の授業はありました? 授業に関わらず、体育棟に向かいました?」

「いいや、今日は体育棟には行ってないな」

「つまり、体育棟には絶対ラノベはないんだよ」

「なるほど。つまり、部長が今日行った場所だけを調べればいいってこと?」

「そういうこと」


 あとは部長が行った場所とラノベを置き忘れてそうな場所を聞いて調べれば見つけることができるだろう。


「ということで、今日行った場所を教えてください」

「今日行った場所かぁ」


 部長は記憶を引き出そうと目線を右上へと向けて、記憶を探るようにひとつずつ挙げていく。


「まず、二年C組はもちろんだし。あとは、化学教室、歴史教室、美術室、食堂かな」

「なら、かなり絞れそうですね」


 予定よりもかなり早く帰れそうか。もう少し絞り込めるなら絞り込みたいところだけど……。


「あと、東棟二階の女子トイレだな」

「い、いきなりなんですか!?」

「東棟二階女子トイレの奥から二番目の個室」

「二回も言わなくてもいいですよ! というか、さっきよりも詳しくなってるし!」


 部長の爆弾発言を受けてタジタジの俺とは対照的に当の本人は真顔。不自然なほどの真顔。

 しばらくしてだんだんと部長の口元がニヤついてきて、しまいには笑い出す始末。


「うははははは! こんなことで顔赤くしてる翔真めっちゃ面白いな! ひーひー」

「からかわないでくださいよ! こんなバカみたいなことばっかりしてると、帰りますよ!」

「あー! あたしが悪かったから、帰らないでください。お願いします。何でもしますから」


 そう言って部長は俺に向かって完璧なジャンピング土下座を決めてきた。

 こういう無駄なところで無駄な才能を発揮してしまうのが自由部部長・文月由宇だ。


「まぁ、いいですけど。……これは手分けして探した方が早そうですね」

「そうだね。化学教室と歴史教室は近いから、三手に分かれて探そうか」

「僕と部長は歴史・化学教室に行きましょうか」

「じゃあ、私は美術室に行くわ」

 

 彩乃先輩はしっかりしているから一人でも大丈夫だとは思うが、問題なのは遥だな。


「じゃあ、私は食堂の方に行こうかな」

「遥は一人だと心配だから、睦月さんが一緒に行ってもらえると助かります……って、あれ?」

「ちょっと……って」


 さっきから反応がないとは思っていたが、睦月さんは椅子に座ったまま夢の世界へと誘われていた。


「あー、睦月は昨日の夜遅くまで今度の全校集会で話すときの原稿を作っていたらしいぞ」

「それで元気のない睦月さんを何で助っ人として呼んだんですか?」

「人手が足りなかったから……」


 どうやら、部長の人使いが荒いのは自由部員だけに限ったことでは無いらしい。


「……睦月さんはゆっくりと寝かせて、帰るときに起こしてあげましょうか」

「「「賛成」」」


 俺たちは部長のラノベただ一つを見つけ出すためだけに、校舎の中へと駆り出されいった。

珍しく長くなりそうな予感がしてならない……

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