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世界は広いが世間は狭い

 新しい嫁ぎ先の門をくぐると、出迎えてくれたのは新たに夫となる彼の人だった。噂通り優しげな印象を受けるこの人には、最初に伝えておきたいことがある。

 娘達も一緒に引き受けてくれたことへの感謝だ。こればかりは不幸中の幸で、あの義弟からの提案ではないことが明らかだ。それを伝えると彼の人は、お互い大事な人と死別した者同士だから理解できることがあると思うと返してきた。

 娘達を呼び寄せ、彼の人の後に続いて家に入ると、私ですら息を飲むほど美しい彼女がいたのだ。これが彼の人の娘である彼女と私の初対面である。

 互いの娘を紹介し合い、挨拶を交わした。恐らく亡くなった奥方によく似ているのだろう彼女は、とても真っ直ぐな眼差しで、そして自然体で十分に美しいのだ。私は今、美しさで武装しているにも関わらず、何故だか不安ばかりが募った。

 この時の私には、こんなにも美しいお嬢さんだとは聞いてなかった、と言うのが精一杯であった。


 それからの日々は、驚きの連続だった。彼女の能力の高さのせいである。

 何をしても、私と同等かそれ以上の出来なのだ。厳しく育った私とは裏腹に、彼女はあたかも自然に、完成度が高いのだ。これはもう彼女の才能を認めざるを得ない。語学も振る舞いも歌も踊りも絵画さえも、どれをとっても上等で、その美貌に見合う程の教養や芸術的センスなのだ。

 あまり比較したくないが、私の娘は2人とも才能が無いのだ。私に似てしまったのだろう。それに加えて、実父を亡くしてから今日まで、家の事情で教育が休止していたのだ。現時点では並の令嬢以下の状況である。この先このまま行くと、我が子は不憫だ。

 彼女は私の娘達を傷つける様なことを言わないだろう。それでも世間からは比べられてしまうのだ。

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