反撃40(笑顔)
とうとう今日から体育祭です。
ふふふ、今日は色々先輩と関われそうですしとても楽しみです!
校庭で開会式があるのですが、その後すぐチアダンスが始まるので、私はチアダンスの衣装に着替えます。
学校から貸し出される衣装なのですが、取り出して改めて見ると少し恥ずかしいですね…。
こ、このスカート短くないですか…?
肩もこれじゃあ丸見えですし…。
この衣装を着た自分の姿に恥ずかしさを感じながら着替えました。
チアダンスをする人達は開会式には出ずに控え室のような場所で待機します。
私もその場所へ向かおうと思いましたが、ここであることを思い付きました。
肌の露出が少し激しいですが、この姿なら普段とのギャップがあります。
ふふふ、この姿を見せれば、私のことを女の子として意識すること間違いないです!
先輩を赤面させにいきましょう!
開会式が始まるまでまだ少しあったので、私は先輩を探しに校庭に向かいました。
校庭を歩いていると、通り過ぎた人からチラチラと視線を感じます。
うう、やっぱりこの姿だと結構注目されてしまいますね…。
自分でも結構露出しているのは分かっているので、人に見られるのは恥ずかしいです…。
早く先輩を探しましょう!
私は人目に気付かないふりをしながら探し回りました。
あ、いました!!あの見慣れた後ろ姿は先輩ですね。
わぁ!先輩赤の鉢巻きをつけてます!私と一緒です!
同じ組であることに嬉しくなりながら私は先輩に話しかけました。
「せ〜んぱい!」
「なんだよ…っ!?」
声をかけると先輩は振り向き、そして私を見て固まりました。
見てます見てます。どうやら私のこの姿に見惚れているみたいですね。
ここにくるまでに何人にも見られて恥ずかしい思いをしました。
先輩に見られるのも恥ずかしいですが、私を女の子として意識してもらいたいので、先輩は少しだけなら見てもいいですよ…?
「ふふふ、どうですか〜、先輩?可愛くないですか?」
自分ながらなかなか魅力的な姿だと思います。
さっきまでの周囲の視線からも私の自惚れではないでしょう。
さあ、先輩、私を意識してドキドキして下さい!
「可愛い可愛い」
先輩は棒読みで感想を述べてきました。
「もう!もっと感情を込めてください!」
こんなに見せているんですからもっとちゃんと褒めてください!
ここまで披露しているのは先輩だからなんですよ?
もう少しありがたく思ってもいいのに。
先輩の反応が不満で抗議するように文句を言います。
「うるさいな。それよりそんなに動くとスカートの中見えるぞ?」
どうやらスカートのことを心配してくれたみたいです。
私もこんなに短いスカートを履いたら、見えそうになるのは分かっています。
「それなら大丈夫です!ちゃんと見えてもいいように中にスパッツ履いていますから」
ばっちりスパッツを履いてますもんね。これでどんなに動いても見えることはありません。
証拠を見せようとスカートを少し捲ろうとすると先輩が私の手首を掴んできました。
「おい!こんなところでなにしてんだ!?」
先輩が動揺したように声を上げました。
もしかしてこれは…。
「あれ〜?もしかして私のスカートの中身気になっちゃってますか〜?」
ふふふ、先輩のこの慌て具合、相当意識していますね。
こんなに慌てる先輩はなかなか可愛いです。
「そんなわけないだろ」
「スパッツだから見られても平気です。ほら、正直になってくれたら先輩にだけ特別見せてあげますよ?」
強がっても顔が赤くなっていますからバレバレですよ?
一生懸命隠そうとしているところがやっぱり可愛いです。
思わずにやけてしまいそうです。
「はいはい、勝手に言ってろ。それよりもうすぐ開会式始まるんだから、お前も移動しろよ」
「あ、そうでした!忘れるところでした!先輩!開会式終わったらチアダンスなので、絶対見てくださいね?」
危ない危ない。忘れるところでした。
この日のために練習してきたんですから、是非先輩には見て欲しいです。
今回は秘策もありますからね。先輩には私のことを可愛いと思わせてみせます!
「分かった、ちゃんと見るから。ほら、早く移動しろ」
「はい!ありがとうございます。楽しみにしていてくださいね?」
ふふふ、先輩が意識している姿が目に浮かびます。
私の秘策見せてあげます!
私はダンスの時を楽しみにして先輩と別れました。
開会式が始まりましたが私はまだ控え室にいます。
ふぅ、人の前で踊るのは少し緊張します。
深呼吸を繰り返して、そわそわする気持ちを鎮めます。
気持ちを落ち着かせていると、とうとうチアダンスの時間がやってきました。
さあ、頑張りましょう!
曲がかかると同時にステージに出ます。
わぁ!?人が沢山います!
想像以上に多い人数に驚きながらも、練習通りチアダンスを始めました。
それにしても先輩どこにいるんでしょうか?
そもそも見に来てくれてますよね…?
少しだけ見に来ていないかもしれないという不安がよぎりました。
あ!いました!
先輩の姿を見つけると、先輩はもう私のことに気付いていたらしく、私と目が合いました。
ちょっとだけ恥ずかしいですね…。
普段見せない姿を見られていることに羞恥を感じ、顔が熱くなります。
羞恥を誤魔化すように私は早速秘策を行うことにしました。
ふふふ、先輩、私のウインクに見惚れて下さい!
パチリと左目を瞑り、ウインクを先輩に送ります。
成功です!先輩の顔が赤くなりました。
赤くなった先輩は何回見ても可愛いですね。
さすがに踊りながらにやけるわけにはいかないので、にやけそうになる口元に力を入れます。
先輩は赤面すると顔を私から逸らして下を向いてしまいました。
今頃ドキドキして余裕がないでしょう、先輩?
ですがここで私はやめませんからね?先輩が顔を上げたときにまたウインクを見せてあげます!
私は先輩が顔を上げるタイミングを待ちながら踊っていました。
すると、少しして先輩がまた顔を上げました。
ふふふ、さあ、先輩!また赤面して下さい!
またしてもパチリとウインクをしました。
すると、先輩がこっちを見て笑顔を浮かべました。
え?え!?
頭の中が一瞬真っ白になります。
い、今、笑いましたよね!?
こ、このタイミングで笑わないでください…!
バクバクうるさく鳴る心臓を抑えようとしますが上手くいかず、顔どころか身体中が熱くなっていきます。
なんとか踊りを失敗しないようにしますが、先輩の笑顔が忘れられず上手く踊れません。
あんな笑顔反則じゃないですか…。
しかもこんな不意打ちズルすぎます。
私が先輩の笑顔に弱いのを分かっていてやったに違いありません。
もう、私が先輩のことを意識させて余裕を保つつもりが、先輩のせいでまた意識させられてしまいました。
私は顔が熱くなるのを感じながら、なんとかチアダンスを踊り続けるのでした。




