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被害27(ドライヤー)

先輩がトイレに行き、部屋に1人きりになりました。



1人になればドキドキが収まるかと思いましたが全く収まりそうにありません。



原因は分かっています。私の着ているこのジャージのせいです。



ああ、もう!なんで着ているだけでこんなにいい匂いしてくるんでしょうか…。



気になって仕方ありません。



もぞもぞと身体を動かすたびに、先輩の匂いが弾けて、私の鼻腔がくすぐられます。



なんだかもっと嗅ぎたくなってきました…。ジャージ直接嗅いだらもっと匂いするのでしょうか…。



いやいやいや、ジャージの匂いを直接嗅ぐのは流石にダメです!そんなの乙女としてあるまじき行為です!



で、でも、今なら先輩いないですし…、バレなければセーフでは…。



自然とジャージをつまみ鼻元へと近づけていきます。



い、今ならまだセーフです。まだ直接嗅いでいなですし、早くやめないと。



そんな思いが脳裏をよぎります。



で、でもこんな機会もうないかもしれないですし、一回くらいならバレなければ…。



ああ、もう!どうしたらいいんでしょう!



心の中でそんな葛藤が渦巻きます。



ですが勝手に手は動き続け、気付いたら鼻をジャージに押し付けていました。



わぁ!わぁ!凄いいい匂いがします!



顔面いっぱいに広がる先輩の匂いに興奮が止まりません!



大好きな先輩の匂いを強く感じ、幸せすぎて我を忘れてしまいました。



「何やってんだ?」



突然声をかけられ、意識を取り戻します。



「…え?」



聞こえた声の方を向くと、扉のドアのぶに手をかけたまま固まっている先輩の姿がありました。



「…ひゃあ!?」



え?え!?先輩!?いつから!?全然ドアを開く音が聞こえませんでした!先輩の匂いを嗅ぐのに集中しすぎて忘れてました!



やってしまいました…。こんな姿見られたなんて恥ずかしいです。



身体の内から燃えるような熱さが湧いてきます。



「…み、見ましたよね?」



恥ずかしすぎて正面から見れず、俯きながら先輩の様子を伺います。



「ああ、見たよ。俺のジャージの匂い嗅いで何してんの?」



不思議そうにこっちを見てきます。



「そ、それは…、先輩の匂いがするかなって思って…」



ど、どう説明しましょう…!?とりあえず曖昧に伝えておきましょうか。



「そりゃあ、俺の匂いはするだろ。俺のジャージだしな」



私の説明に納得いかないのか、まだ首を傾げてこちらを見てきます。



「そ、そうじゃなくて…」



全然伝わっていませんでした。でも、きちんと説明するのは躊躇ってしまいます。



「そうじゃなくて、なに?」



私の躊躇いに気付いて、ちゃんと言うように促してきます。



この先輩、もう半分分かってやっているんじゃないでしょうか?



絶対そうに決まっています!私に恥ずかしいことを言わせたがっているんですね!



もう良いです!そこまで聞いてくるなら言ってあげますとも!ほら、先輩!ちゃんと聞いてくださいね!



「……っ〜!!!もう!先輩の匂いが好きなんです!着たら先輩のジャージから凄い良い匂いがしてきて、もっと嗅ぎたいな〜って……」



勢いで口に出したのはいいですが、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいです!



こんなの変態じゃないですか…。なんで私、好きな人にこんな恥ずかしいこと言っているんでしょう…。



穴があったら入りたいです…。



「…なんていうか、雨宮って変態なのか?」



先輩が戸惑いな表情のまま変態って言ってきました!



「…へ、変態!?ちょっと、先輩!?女の子に変態なんて言わないで下さい!変態なんかじゃないです!ちょっと匂いフェチなだけです!」



それは困ります。好きな人に変態なんて思われたくないです!



なんとか匂いフェチと納得してもらおうと語気を強めて、先輩に言い述べます。



「お、おう」



「いいですか!?私は匂いフェチなだけですからね!?それよりも髪を乾かしたいのでドライヤー貸してください!」



念を押して、これ以上言及されないように強引に話題を変えます。



ああ、もう。先輩の匂いを気に入ってることがバレてしまいました。



隠し通すつもりだったのに、こんな形で知られてしまうなんて…。



やっぱり嗅ぐの我慢しておけばよかったです。引かれていないでしょうか?



先輩の反応を見る限り、戸惑ってはいるようでしたが、別に嫌がってる感じではなかったので大丈夫だということにしておきましょう。



「ドライヤーならここに…」



私の頼みを聴いてくれた先輩は、ドライヤーを取りに部屋の隅に歩いて行きました。



浴室の洗面台のところにはなかったのでどこにあるのかと思っていましたが、どうやらあそこに置いてあったみたいです。



先輩はドライヤー手に取ったところで固まりました。



「先輩?」



どうしたんでしょう?急に固まったりして。



「…なんでもない。それより髪を乾かすんだろ?俺が乾かしてやるよ。」



「え!?どうしたんですか、急に!?」



「なんでもいいだろ。ほら、こっち来い」



先輩の提案に驚いていると、先輩は近くにあった座布団を先輩の前に持ってきて、そこをポンポンと叩いて座るよう言ってきました。



「えっと…。わ、分かりました。ありがとうございます…」



乾かしてもらうのは良いんですが、本当に急にどうしたんでしょう。たまに先輩は突然言い出す時がありますがよくわかりません。



それにしてもまた髪を触られるんですか…。前に撫でられた時、ものすごい気持ちよかったのは今でも鮮明に覚えています。



髪を触られるだけなのに、なんだか不思議と少しドキドキします。



「じゃあ、乾かすからな」



「は、はい」



先輩の前に座ると、後ろから声が聞こえました。



この位置配置だけで緊張します。後ろから先輩の気配がしてくるというのは新鮮です。



後ろからハグされる体勢みたいで、緊張してしまいます。



私の前にある姿鏡に写った先輩は、膝立ちになってドライヤーのスイッチを入れました。



湿った私の髪に先輩の手が乗せられ、頭が少し重くなります。



最初は髪が束のまま揺れていましたが、次第に解け、さらさらと私の髪を梳くように、指を通される感覚が頭上から伝わってきます。



温風を当てられながら、さらさらと梳く先輩の手が心地よくて、思わず目を細めてしまいました。



優しく何度も頭の輪郭に沿って動かされ乾かされます。



ふふふ、なんだか撫でられているみたいです。ほんわりと胸が温かくなります。



「どうだ?」



「とても気持ちいいです。先輩に髪を触られると落ち着きます…」



「そうかよ」



しばらくすると、どうやら頭の天辺の方は乾いたらしく、先輩は首元にドライヤーの温風を当て始めました。



ああ、もう終わってしまいました。もう少し撫でられたかったです。



物足りなさを感じていたら、不意に首元に先輩の指先が触れました。



「…んっ」



むず痒いような痺れるような感覚が身体を突き抜け、思わず変な声が出てしまいました。



「ちょ、ちょっと先輩!?急に首を触らないでください!」



今まで忘れていましたが、そういえば私は首が弱いんです。人に触られるのが耐えられません。



慌てて注意してもらえるように言います。



「いや、そんなこと言われても触らないと乾かせないから。早く前向け。」



しかし、先輩は私を強引に前を向かせて乾かすのをすぐ再開しました。



首元の髪を梳かれるたびに、妙な感覚が身体中に突き抜けます。



「…んっ。もう、先輩!?首は弱いんです!やめっ…」



なんとかやめてもらえるように言おうとしますが、何度も首元を触られて、まともに話せません。



「雨宮、うるさい。少し黙ってろ」



しまいには、さらに弱い耳元で、低めの声で囁かれました。



もう無理です!心臓的にも、身体的にも、限界が近くてパンクしそうです。



んっはぁ



呼吸もうまく出来ず、息が絶え絶えになりながら、なんとか勝手によじれそうになる体を押さえます。



なんだか熱いですし、体が妙な感じに痺れてきました…。



「ほら、終わったぞ」



何度も首元を触られ、だんだん変な気分になってきたところでやっと終わりました。



「おい、雨宮?」



まだ残っている首筋を触られる感覚で体が上手く動かせません。



「か、乾かしてくれてありがとうございます。でもこんなこと他の人にしちゃダメですよ!?私だから我慢したんですからね!?」



本当にこの人は分かっているんでしょうか!?



女の子にあんな感覚を味合わせるなんて、セクハラって言われても文句は言えませんよ?



なんとか今回は耐えられましたが、次はもう無理です…!こんなのおかしくなっちゃいます。



ここで強く言っておかないと!



もうさせないよう、私は強く訴えるのでした。



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