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被害19(仲間2?)

「おはよう、華!」



先輩との弁当の約束をした次の日、いつも通り登校します。



「おはよう、えり、今日はいつにも増して元気そうね」



どこか楽しげな目で私を見てきます。



「もちろんです!こんなに早く先輩の弁当が食べられる機会がやってくるとは思っていなかったんですから、楽しみに決まっています!」



「ふふふ、そうね、私も楽しみよ。多分神崎先輩も気合いを入れているんじゃないかしら?」



にやにやといつもの華らしくない笑みに違和感を覚えますが、気のせいでしょう。



「そ、そうですかね…?」



私のためにそこまで頑張ってもらっていたら最高すぎます!頑張っている先輩の姿を想像するだけでにやけてしまいます。



「ええ、きっとそうよ。やっと2人の関係が上手くいき始めたみたいだし、今日私も昼休み一緒に行っていいかしら?」



「え、華も来るのですか!?うーん、どうなんでしょうか…」



華はとてもいい人ですし、先輩を傷つけるとは思いません。



ですが、先輩が知り合いを作ろうと思ってから紹介した方がいいのではないのでしょうか?こちらの都合で関わってもらうのは違う気がします。



あと、これは自分の勝手な想いではありますが、親友でも好きな人と女の子が話すのはほんの少しだけもやもやします。



「いいじゃない。大丈夫、神崎先輩が迷惑そうだったらすぐ帰るから。ね?」



「そこまで言うなら…。でも、本当に先輩が嫌そうだったら諦めてくださいよ?」



「わかってるわよ。ふふふ、昼休みが楽しみだわ〜」



本当に大丈夫でしょうか…。



私はほんの少しの不安を抱えて、昼休みが早く来るよう待ち続けるのでした。



昼休み、いつも通り先輩のもとへ向かいます。



「せ〜んぱい!」



「おう、弁当は作ってきたぞ。それよりそっちの人は誰だ?」



先輩は額にかすかにシワを作り、ほんの少し不機嫌そうな声を出します。



「初めまして、神崎先輩。私は晴川華っていいますわ。えりの友達で、今日神崎先輩とご飯一緒に食べるって話を聞いてついてきましたの」



「そうか、悪いけど俺は知らない奴と一緒というのは苦手なんだ。遠慮してもらえないか?」



「ほら、華!先輩は嫌がるって言ったじゃないですか!」



やっぱり、先輩には迷惑だったようです。約束通り引き下がってもらおうとしますが、



「まあまあ、落ち着いて、えり」



そう私に言ってくるとくるりと翻して華が先輩の耳元に顔を近づけて何かを囁きました。



え?なんですか、それは!?それはダメです!親友でも近づきすぎです。



焦りにも似た形容し難い黒い感情がふつふつと湧き出してきます。



ぎゅっと握った手に力が篭ります。



「なんでそれを知ってる!?」



華の囁きにに先輩が驚きの声を上げました。



「ちょっと華!?そんなに先輩に近づかないでください!先輩に何を言ったんですか!?」



ずるいです。2人で内緒話なんて!しかもあんなに近づかなくてもいいじゃないですか。



華と先輩の距離の近い様子に耐えられず、慌てて引き離してしまいました。



どうにもならない感情に思わず振り回されてしまいます。華にこんなに黒い感情を向けたくないのですが、どうにもなりません。



華は可愛いですし、先輩が取られてしまうかと思うと焦ってしまいます。



ムッと頰を膨らませて華を牽制します。



「ごめんって。取ったりしないから安心して?私彼氏いるし。ちょっとした取引よ」



「え!?華に彼氏がいたんですか!?」



「ええ、言ってなかったかしら?」



初めての事実に驚きです。彼氏がいると分かり、少しだけほっとしました。さっきまで抱えていたトゲついた感情が収まっていきます。



華の彼氏について詳しく聞こうと思ったそのときでした。



「やぁ、神崎くん。それに雨宮さんに華も」



見知らぬ男の人が私たちの間に入ってきました。



「ちょうどいいところに来たわね。えり、こっちが私の彼氏の東雲直人よ」



え?



私は驚きのあまり固まってしまいました。



「初めまして、雨宮さん。僕は東雲直人です。一応、華の彼氏です」



「は、初めまして!私、雨宮えりといいます。華とはとても親しくさせてもらっています。よろしくお願いします!」



え?この人が華の彼氏なのでしょうか?突然すぎて理解出来ません。あまりに困り果て、ただ何も考えずに挨拶を返してしまいました。



「うん、こちらこそよろしく」



「おい、東雲!ちょっとこっちに来い」



先輩が東雲さんを連れて私達から少し離れたところへ行ってしまいました。



この隙に華に聞いておきましょう。



「ちょっと、華!?これはどういうことですか?」



「どういうことってこのままの通りよ」



楽しげにクスっと微笑み返してきました。



「ちゃんと説明してください!」



「だから、直人は私の彼氏で先輩の知り合いになってもらったの。これまではえりも諦める気で神崎先輩と関わっていたから私が何かする気はなかったけれど、えりも頑張る気になったみたいだし協力したいじゃない」



「そ、そういうことですか…。でも、先輩のことですから、そんなに簡単に知り合いにはなれないと思うのですが…」



「ふふふ、そこは直人が上手くやってくれたわ。弁当の誘いも直人のおかげよ。これからはもっと協力していくわね」



「そういうことでしたか!ありがとうございます!2人の協力が得られたならもっと上手くいきそうです!でも、さっきの様子だと華のことを今日受け入れてくれるとは思えませんよ?」



道理であんなに不自然なタイミングで弁当の誘いがあったんですね。納得です。



「安心して、そこは大丈夫よ」



謎の自信を持って言ってきます。



一体どういうことでしょうか?



先輩と東雲さんの話し合いも終わったのか、こっちに戻ってきました。



「いいだろう、晴川も一緒に食べるぞ」



「え、先輩!?」



戻ってくるなり、先輩はそんなことを言いました。



初対面の人を受け入れるなんて一体どうしたんでしょう!?でも、先輩が人と関わるようになったのはとても嬉しいです!



少しずつでも、先輩が人と関わるのを楽しんでもらえるようになっているのが分かり安心しました…。



これからも先輩が人と関わって笑顔になれるように頑張っていきます!



「さすが、神崎先輩。分かっていますね」



「それでご飯どこで食べるんだ?」



「それなら、屋上がいいんじゃないかな。人も少ないし、4人で食べるのに十分な広さもあるしね」



「私はいいと思います!」



屋上でお弁当!しかも先輩と一緒に食べれるなんて、最高です!ぜひ屋上で食べたいです!



「特に反対する理由もないし、俺も構わない」



先輩も納得したようなので、私たちは屋上へ移動しました。



毎回感想を下さってありがとうございます!いつも筆者のやる気に繋がっています!これからも毎日更新を続けていくためにもぜひ感想を送って貰えると嬉しいです((o(*>ω<*)o))

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