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被害18(弁当の誘い)

「華、おはよう!」



「あら、おはよう、えり」



朝登校するともう既に華が来ていたので、昨日のことを問いただすため話しかけに行きます。



「昨日の電話の協力って一体なんなんですか?」



「ふふふ、それは内緒よ」



そう言って華は口元で人差し指を立てます。



「えー、気になります!」



「あとでわかるわ。それより今日、えりは運がいいみたいよ?きっと何か良いことが起こるわよ」



ふふふ、と含み笑いを見せてきます。



「良いことですか?あったら嬉しいです!」



こうして私の朝は何やら意味深なことを言われて終わりました。



待ちに待った昼休みがやってきました。



ほんの少しだけ緊張します。心がそわそわします。なんて話しかけたらいいでしょうか…?



少し手に汗を握って、先輩の教室を覗きます。



あ、いました!相変わらずカッコいいです!



抑えきれず少しだけ早足で先輩の元へ駆け寄ります。



「せ〜んぱい!どうしたんですか?そんな可哀そうなものを見る目で私を見て?」



近づくと悲しげな目で私のことを見てきます。



「なんでもない、少し考え事をしてただけだ」



「そうですか」



あ、なにを話しましょうか。まだ全然考えていませんでした。何か話しないと…。



「それより昨日こんなに可愛い私に告白されたんですから、先輩ほんとうは意識して内心ドキドキしているんじゃないですか?」



ああ、緊張で変なことを言ってしまいました。意識してるのは私です。先輩を前にしたら緊張とときめきで頭の中が真っ白です。



「そんなわけないだろ。俺はお前が嫌いだ」



「はいはい、嫌いなんですね〜」



嫌いと言われてしまいましたが、口調が優しいです。全然突き放す気がないのは丸わかりです。



「なんだよ、その顔は?」



「別になんでもないですよ〜?もう先輩に嫌いと言われて止まる私ではありませんからね!先輩も覚悟していてください!」



今まで辛かったですが頑張ってきてよかったです!



初めて先輩が心を少し開いているのを感じて頬が緩んでしまいます。



「はいはい、覚悟しておくよ」



「もう!絶対本気にしてませんね!?そのうち私に会うのが楽しみで仕方なくさせてあげますから!」



うがーっと手を上げてつい文句を言ってしまいます。でもこんな軽いやり取りが出来ることがとても幸せです。もしかしたらこんなことが出来ない未来もあったかもしれないのに。



今あるこの現実がどれだけ幸せであるかじんわりと実感します。



こうしてまた会えることがとても嬉しいです。独りよがりかもしれませんが、先輩にも私と会うのが楽しみになって欲しいです。



「そうかよ、でも今日会うのは楽しみしてたぞ?」



「へ?え?え!?」



え?今、会うのが楽しみと言いました!?言いましたよね!?



心の底から甘く柔らかい感情がブワァっと湧き出してきます。



「ほ、ほんとうに楽しみしてくれてたんですか!?」



あまりにも嬉しすぎて思わず顔を近づけます。



「本当だ。楽しみすぎて今日は昼休みがくるのをそわそわしながら待ってたくらいだからな」



「へ、へぇ。せ、先輩がそこまで会うの楽しみにしてくれていたんですね。そんなに会いたがっていたなんて、先輩はまったく仕方ない人ですね〜」



あまり喜びすぎても引かれてしまいそうなので口元を引き締めてなんとか冷静な感じを装います。



ですが滲み出た嬉しさでどうしても頰が緩んでにやけてしまいます。



「分かった分かった。それよりお前ってお昼ごはんいつも弁当?」



「え?突然どうしたんですか?一応お弁当ですけど…」



「明日雨宮の弁当作ってやろうかと思ってな。作っていいか?」



「え、先輩が弁当を作ってくれるんですか!?嬉しいです!ぜひお願いします!」



え?え!?まさかこんなにすぐに夢が叶うなんて!もの凄い嬉しいです!



「まさか、そんなに喜ぶとは思わなかった」



私の喜び様が激しかったのか、先輩が驚いています。嬉しすぎてついはしゃぎすぎてしまいました…。



「やっぱり、好きな人が作ってくれたものって食べてみたいじゃないですか?だから先輩のお弁当は前から食べたいって思ってたんです…」



ううう、やっぱり本音を言うのは恥ずかしすぎます…。でも、これで先輩に少しでも意識してもらえるなら頑張ります!



「そ、そうかよ。好きなものとかあるのか?作って入れてやるよ」



一瞬息を詰まらせたようにビクッと身体を震わせ少しどもりながらも、また嬉しいことを言ってくれました!



好きなものをわざわざ用意してくれるなんて。これで嫌いなんて言われても説得力がなさすぎです。



「えーっと、じゃあハンバーグをお願いします!」



「わかった、ハンバーグな。楽しみにしとけよ」



「はい!夢にまで見た先輩のお弁当を食べられるんですから楽しみに決まっています!友達が今日私運いいみたいだからいい事あるかもって言っていたんです。きっとこのことだったんですね!」



華が言っていた良いことってのはこのことだったんですね!



好きなものをしかも先輩から貰えるなんて嬉しいです!最高の1日です!



「そんなことお前の友達言っていたのか。別にそこまでいい事ってほどでもないだろ」



「いえいえ、こんなこと早々ないです。ああ、明日が本当に楽しみです!」



少し呆れたような顔で見られましたが、嬉しいものは嬉しいんです!



明日を楽しみにして先輩と別れました。



「あら、えり、今日の先輩とのお話はもう終わったの?ずいぶん幸せそうね」



教室に戻ると華が話しかけてきました。



「え、そんなに幸せそうですか!?」



「ええ、にやけすぎてせっかくの可愛い顔が台無しよ?」



「そんなにですか!?」



慌てて頰をグニグニと手で動かして、治そうとします。



「ど、どうですか?」



「ふふふ、頑張って抑えようとしているのはわかるけれど、まだにやけているわよ」



可笑しそうにクスクスと肩を揺らして笑ってきます。



「もう、いいですから!それより聞いてください、華!今日、先輩にお弁当を作ってきてやると言われたんです!」



恥ずかしさを誤魔化すように話題を変えます。



「あら、よかったじゃない。それでそんなに嬉しそうだったのね」



「もう嬉しすぎてにやにやが止まりません!華が良いことあるって言っていたのはきっとこのことですね!明日が楽しみです!」



ああ、もう明日が待ち遠しくて仕方ありません!先輩の弁当どんな感じなのでしょうか?早く明日が来て欲しいです!



「そうね、私も明日が楽しみよ…」



先輩の弁当が楽しみすぎた私は、華が含み笑いを浮かべているのに気付くことはありませんでした。

感想を下さった方々ありがとうございます!楽しく読ませてもらっています!これからも筆者の毎日更新のためにも送ってもらえると嬉しいです(*≧▽≦)


神崎の弁当をもらう雨宮ぐらい喜びます(笑)

ぜひお待ちしています(*・ω・)*_ _)ペコリ

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コミカライズは↓↓↓から

https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0002280
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