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意地悪28(料理)

「か、乾かしてくれてありがとうございます。でもこんなこと他の人にしちゃダメですよ!?私だから我慢したんですからね!?」



真っ赤な顔でこっちを見てくる雨宮。



乾かしているときにやたらと文句を言ってくると思っていたが、やはり髪をボサボサにされるのを止めさせようとしていたらしい。



意地悪に気付くとはなかなかやるな。



「雨宮以外にやらねえよ。興味もない」



そもそも近づいてこない相手にやる意味がない。勝手に近づいてくるから意地悪しているというのに。



「…え?え!?そ、それならいいんです…」



なぜか頰を赤らめてしゅんと大人しくなる雨宮。



「じゃあ俺も風呂入ってくるから、好きにしてろ」



「え、あ、はい。分かりました」



着替えたはいいものの、やはり冷えた身体はなかなか温まらないな。シャワーを浴びにいくとしよう。



静かになった雨宮を置いて浴室へ移動した。



服を脱ぎ、シャワーを浴び始める。



やはり雨宮を家に連れて来て正解だった。次々と意地悪が思いつく。くくく、この後が楽しみだぜ。



シャワーに濡れながら、俺は薄く笑みを浮かべた。



しばらくシャワーを浴び、体が温まったのを感じたので浴室から出る。いつも通りパンツを履いて部屋へと戻る。



ガチャリ



部屋のドアを開けると雨宮がこっちを見ていた。



「あ、おかえりなさ…い?」



俺の姿を見て固まる雨宮。その驚いた顔がだんだんと真っ赤に染まっていく。



「…ちょっと、先輩!?なんで裸なんですか!?」



バッと真っ赤な顔を手で覆い、慌てて下を向く雨宮。



「いや、ちゃんとパンツ履いているだろ」



「そういう問題じゃないです!私がいるんですから、そこら辺は気を使って下さい…」



顔を手で覆いながらも上目遣いでチラチラと指の間から頰を赤くしてこっちを見てくる。



「やだよ、なんでお前に気を使わなきゃいけないんだ」



嫌いな奴を相手に気を使うわけがないだろ。



いつものように着るものを取るため雨宮の後ろにあるクローゼットへ近づく。



「え?え!?なんで、近づいて…」



耳まで茜色に染め、こっちを見たまま縮こまる。



そんな雨宮の様子など意に介さず、俺は雨宮の顔の横から後ろの服に手を伸ばす。



「ち、近いです!近すぎです!もうこれ以上は…」



きゅっと目を閉じ、胸の前で両手を組んでさらに縮こまる雨宮。



俯いているのでうなじが見えるがその肌は髪まで朱に染まりそうなほど真っ赤になっている。



「なにそんなに慌ててんだよ。服を取っただけだろ」



「へ?ふ、服を取っていたんですね…」



間抜けな声を出し、真っ赤だった顔が薄い桜色にまで戻る。



「そうだよ」



そう言いながら着替えていく。



着替えている間、雨宮がチラチラと指の間から頰をほんのりと朱に染めながらこっちを見ていた。



「さて、お風呂で温まったことだし雨止むまでなにする?」



着替え終え、この後どうするか尋ねる。



「そうですね…」



顎に手を当て考えるような仕草する雨宮。その時だった。



ぐぅぅぅぅ。



「…!?」



お腹の音が鳴り響く。落ち着いていた雨宮の顔がまた真っ赤に染まっていく。



「ふっ、じゃあ何か食べるか」



まさかのタイミングに思わず笑みが溢れる。



「そ、そうですね…」



お腹の音を聞かれたのがよほど恥ずかしかったのか、雨宮は俯いて大人しく俺の提案を受け入れた。



早速台所に移動し、エプロンを着けて料理の準備をする。



ちらりと雨宮の様子を伺うと俺を見て口元が緩みにやけている。



「なんだよ?」



「いえ、先輩のエプロン姿が新鮮だなーって思いまして。先輩、似合ってて可愛いですよ?」



優しく幸せそうな声でそんなことを言ってくる雨宮。だがその顔はにやけており、非常に腹が立つ。



くそ、本当にむかつく顔だな。そうだ、思いついたぞ!



くくく、雨宮め。こんなに俺のことをイラつかせやがって。こっちもお前ものことを苛立たせてやるからな!



「うるせえよ。それよりお前が料理を作るんだからな?」



「え?私ですか?」



予想外だったのか、きょとんとくりくりした目をさらに大きくさせる雨宮。



「そうだ。早く来い」



「きゃっ!?」



雨宮の肩を掴んで台所の前に立たせる。



「じゃあ、カレー作るつもりだからまずは具材切りな」



「わ、分かりました…。それはいいのですが、あの…」



頰をほんのりと赤らめながら、なにか言いだけに上目遣いでちらりとこっちを見てくる。



「なに?」



「ち、近くないですか?」



どうやら俺が雨宮の後ろ近くに立っているのが気になるらしい。



「いいんだよ。お前、料理慣れてないだろ?色々アドバイスするから」



「あ、ありがとうございます」



まだ俺が背後にいるのが気になるのか頰が赤いままチラチラとこっちを見てきたが、大人しく料理に取り掛かった。



「じゃあまずは人参だな」



冷蔵庫から取り出し、雨宮の前のまな板に置く。



「じゃあ、切ってみろ」



「は、はい」



スッと左手を指先を伸ばしたまま人参に置いて、包丁を持つ雨宮。



「ほら、持ち方が違うぞ。猫の手をしろ」



「え!?ちょっと、先輩!?」



持ち方を正すために雨宮の後ろから雨宮の両手をそれぞれの手で持ち、教えてやる。



雨宮の左手をぎゅっと握りしめるようにように持ってやると、雨宮が慌てた声を上げた。



くくく、文句を言ってきてもどんどん間違いを正してやるからな。何回も間違いを訂正されていたらうざいし、それだけで苛立ってくるだろう。



雨宮、お前が料理が苦手なのはもう分かっている。そんなお前ならいくらでも正すところがあるからな。覚悟しておけ!



「猫の手にするんだぞ?分かったか?」



「わ、分かりました」



猫の手を教えるのを終え雨宮から離れる。離れた時やたらと赤く染まった首筋が目についた。



「じゃあ、次は肉な」



雨宮に渡して切らせてやると、包丁を力で押し込むようにしており、上手く切れていない。



「包丁は縦に動かしながら切るんだ。こういう風にな」



くくく、やはり思った通りだ。また間違ったやり方をしているな。さあ、指導の時間だ!



「ひゃあ!?きゅ、急に手を握らないでください!」



包丁を握る右手に俺の右手を添えてやる。動きがわかるように解説しながら教えていく。



「うるさい。ちゃんと聞けよ」



「〜〜〜っ!?」



やたらと文句を言ってくるのでよく聞こえるように耳元で囁いてやると、声にならない悲鳴を上げて、顔を真っ赤にして大人しくなった。



くくく、顔が真っ赤になってやがる。よほど苛立っているようだな。



どうだ、うざいだろう。何回も何回も間違いを指摘されていたら嫌になってくる。さあ、もっとイラつくがいい。



こうして俺は指導するたびに変な声を上げる雨宮に何度も間違いを指摘していった。



多くの方からの感想ありがとうございます!いつもニヤニヤしながら読ませてもらっています!


感想、アイデアは筆者の一番の励みです。これからの毎日更新のためにもぜひお願いします。お待ちしていますヽ(*´∀`)ノ

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