意地悪24(頬プニプニ)
誤字報告本当に助かっています。筆者も気をつけているつもりではありますが、見逃しているとこも多々あります。これからもお願いしますm(_ _)m
キーンコーンカーンコーン。
東雲との約束を交わしていると昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴ったので席に座る。
「それじゃあ、体育祭の出場種目決めるぞー」
担任の先生が前に出て、そんなことを口にする。
やはり今日決めるようだ。それにしても眠いな。昼休み中途半端に寝たせいか…。
席に着くと猛烈な眠気が襲ってくる。最初は重いまぶたを開けようと頑張っていたが、耐えきれずとうとう閉じてしまった。
まあ、出場種目は勝手に決めてくれるだろう。
俺は眠り足りず襲ってきた睡魔に逆らうことなく、すぐ机に突っ伏した。
「その前にまず体育祭の実行委員を…」
そんな担任の声が眠りにつく直前聞こえた気がした…。
「神崎くん、神崎くん」
体を揺すられ、目を覚ます。
「なんだ、東雲かよ」
眠たい目を擦りながら東雲の方を向く。
「もう放課後だよ。随分ぐっすりと寝ていたみたいだね」
「ああ、中途半端に昼休み寝たせいで余計にな」
「そうだったのかい。まあそれはいいとして、神崎くんがずっと寝ているから体育祭の出場種目勝手に決めさせてもらったよ?」
「お前が決めたのか?」
「うん、僕が体育祭の実行委員になったからね。その権限で」
「お前が実行委員?なんでだ?」
「立候補したんだ。これも神崎くんの意地悪のためにね」
にやりと悪どい顔を浮かべる東雲。
「俺の意地悪のため?どういうことだ?」
「神崎くんの種目をやってほしい種目にするためには、前に立ってクラスみんなを誘導するのが一番楽だからね。それに実行委員は各種目の運営にも携わるからね。細工も簡単に出来るんだ」
こいつ、そこまでして俺に意地悪をさせたかったのか…!?
東雲の意地悪への想像以上の意気込みに、思わず感嘆が漏れる。
「なるほどな。それで俺の出る競技は何になったんだ?」
「二人三脚と借り物競争とリレーかな。どれも意地悪に使えそうじゃない?」
くくく、素晴らしいぞ、東雲!どれも最高の意地悪が出来そうだ!
「確かに、どれも意地悪をするにはうってつけの種目だ。だが二人三脚は雨宮が同じ競技にならないと話にならないだろ?ペア決めもあるし」
「そこらへんは華に任せてあるから安心していいよ」
「なるほどな。くくく、体育祭が楽しみだ」
「そうだね、僕も神崎くんがどうやって意地悪をするか楽しみだよ」
にやにやと俺と東雲2人で笑い合う。
「じゃあ、華が待ってるからそろそろ僕は帰るね」
「そうか、じゃあな」
こうして期待に胸を膨らませながら東雲と別れた。
東雲はすぐ教室を出て行ったので、残された俺は1人で帰宅の準備をする。
教科書や筆箱を鞄に入れ、帰ろうと教室を出るとちょうど歩いてきていた雨宮と出くわした。
「あ、先輩!」
パッと満面の笑みを浮かべる雨宮。相変わらずの柔和な笑みで周りを魅了する。
「放課後なのに教室に来るなんてどうかしたのか?」
「えへへ、先輩の体育祭の出場種目が気になって会いに来ちゃいました!」
頬をほんのり茜色に染め、照れ笑いをしながらそんなことを口にする。
「そこまでして知りたかったのかよ」
「そりゃそうですよ!先輩と一緒に出来るかかかっているんですから!それで先輩は何に参加するんですか?」
「二人三脚と借り物競争とリレーだな」
「え、本当ですか!?よかったです…。一つ種目が被ってます」
俺の言葉を聞いてホッと安心した表情を浮かべた。
「そうなのか?雨宮は何に出るんだ?」
「私はチアダンスと二人三脚とリレーです」
「そうか、リレーは男女別だったし被っているのは二人三脚だけか」
やはり晴川が上手くやっていたらしい。
「先輩、絶対一緒にやりましょうね!」
「いや、二人三脚ってペアは当日くじ引きで決まるからな?」
「そ、そうでした!私、運が悪いんですよねー。はぁ…」
どうやら忘れていたらしく明らかに落ち込む雨宮。
いや、落ち込みすぎだろ。
「ふん、どうせ問題ない。俺と雨宮はペアになるからな」
「……え?え!?せ、先輩が慰めてくれました!」
雨宮は俺の言葉を聞くときょとんと固まり、その顔が驚きと歓喜に染まった。
「慰めてねえよ。事実を言っただけだ」
東雲曰く、晴川がなんとかするらしいからな。問題ないはず。
「そんなこと言って〜。まったく、先輩はツンデレさんですね。このこの〜」
俺の言ったことを信じていないのか、嬉しそうにそしてにやけながらツンツンと俺の肩を突いてくる。
ああ、うざい。腹立つ顔しているくせに可愛いんだから余計に苛立つんだよな。
くくく、その整った顔をブサイクにしてくれるわ!
俺は咄嗟に思いついた意地悪を実行した。
「ひょっと、ひぇんぱい!?」
まず雨宮の頬をつまみ、引き伸ばす。
おお!これは気持ちいいな!
雨宮の頰はしっとり潤い、もちのように柔らかくとても触り心地がいい。
きめ細かい白い頬に俺の指が沈み込み、伸ばした分だけ雨宮の顔が横に広がる。
戻しては引き伸ばすのを何度も繰り返した。
「な、なにひゅるんでひゅか!?」
突然のことに驚いたのか、変な声を出す雨宮。一応文句を言ってくるが、その顔は緩みきっておりまったく怖くない。むしろ、どこか嬉しそうだ。
「うるさい。その可愛い顔が悪い」
ただでさえ腹立つのに、可愛いからなおさら苛立つんだよ。
「ひゃ、ひゃわいい…!?」
何度か文句を言ってこようとするので、黙らせるためにそう言ってやると、ボワッと顔を真っ赤にして静かになる。
くくく、ブサイクな顔を見られて屈辱だろう。これだけ真っ赤なら確実だな。
それから何度もプニプニを繰り返す。
「ひょ、ひょっと、ひゃふがにこれ以上は…」
「まだダメだ。もっとプニプニして頬を引き伸ばしてやる」
何度も俺から逃れようとしてくるが、頬をつまみ意地でも顔をこっちに向かせ続ける。
「私のこと見ふぎじゃないでひゅか…?も、もうむひです…」
「当たり前だ。お前の顔を見ているんだからな。まあ、仕方ない。やめてやる」
しばらく続けていると、顔を真っ赤にし耳まで茜色に染めながら涙目で弱音を吐いたので、意地悪を終えてやる。
頰から手を離した瞬間、パッと俺から離れる。
「も、もう、先輩!急に頬をプニプニするのはやめてください…」
泣き目のまま上目遣いで不満を小さく零すと、プイッと体ごと逆側を向いてしまった。
くくく、これに懲りてもうむかつく顔をするのは止めるだろう。
俺はうなじまで赤く染まった雨宮の後ろ姿を眺めながら、意地悪に満足して薄く笑みを浮かべた。
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