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被害12(手繋ぎ)

ああ、やってしまいました…。



好きな気持ちを抑えるためとはいえ、先輩にあんなに色々言ってしまうなんて。



でも、あれは先輩が悪いんです。あんなにかっこよく助けられたら、好きになるに決まってるじゃないですか。



頑張ってこれ以上好きにならないよう抑えているのに、惚れさせてくるんですから文句の1つくらい言わせてもらわないと。



ああ、もう!ほんとに先輩のことが好きです。



「おい、雨宮、もういいか?」



「……もう少しこのままでお願いします…」



先輩が私の肩を掴んで離れさせようとしてくるのでお願いしてもう少し続けさせてもらいます。



今は先輩の顔を見れる気がしません。



あんなに色々言った後なので、顔を合わせるのが恥ずかしすぎます…。



何度も深い呼吸を繰り返し、出来るだけ平静を装おうと試みます。



ふぅ、なんとか落ち着いてきました。



心臓の鼓動が収まり始めたので顔を上げます。



「…!?」



パッチリと先輩と目が合ってしまいました。



どうしましょう、どうしましょう。



まさか目が合うと思わず狼狽えてしまいます。仕方なく笑って誤魔化しておきました。



「もういいのか?」



「はい、もう大丈夫です!」



サッと先輩から離れます。



文句を言っているときは気にしていませんでしたが、自分からこんなに先輩の近くに寄っていたなんて。



うう、恥ずかしいです…。



恥ずかしさを誤魔化すように乱れた服装を整えます。



整え終えて先輩を見るとこちらをじっと見つめていました。



「そんなに固まってどうしたんですか、先輩〜?こんな美少女にくっつかれてドキドキしちゃいましたか〜?」



も、もしかして私を意識してくれたのでしょうか?



「しねえよ。しかもくっつくと言っても頭だけだろ」



「もう!それがどれだけ貴重なこと分かっていませんね!?こんな可愛い私と触れ合えたんですよ?後からお願いしても、もうやってあげませんから!」



そんな、残念です。意識してくれたようなら、恥ずかしいですが自分からくっつくのもありだと思ったのですが…。



「そんなことをお願いすることなんか一生こねえよ。」



「もう、いいですーー!ほら、それより私を見て何か言うことはないんですか?何かありますよね?ね?」



くっついたのは偶々ですし、まあいいです。



それよりも服装を褒めて欲しいです!似合っているでしょうか?少しは可愛いと思ってもらえたでしょうか?



「知らねえよ。何を言えばいいんだよ」



「もう!私の服を褒めてくださいよー!もの凄い悩んだんですよ?こんなに頑張ったんですからそのぐらいの労いはあってもいいと思うんです」



「はいはい、似合ってるよー。その編み込みもよく出来てる」



「もうーー!!全然褒めてないですよー!」



残念、褒めてもらえませんでした。



まったく、こういうところで褒めてこないくせに変なタイミングで褒めてくるから困るのです。



ほんとうに困った人です。



不満を込めて睨みますがまったく先輩は意に介した様子がありません。



「はいはい、それよりもう次の予定が詰まってるからそろそろ行くぞ」



「え、そうだったんですか?早く行きましょう!」



「ああ」



ふふふ、最初は最悪と思いましたが先輩に助けてもらえるなんて最高でした!



それにこの後は一日中一緒に居られるデートです。もう楽しみて仕方ありません!



今日一日への期待に胸を膨らませ、歩き出そうとした時でした。



「え!?ちょっと、先輩!?手を繋いでますよ!?」



え?え!?先輩が手を繋いできました!



さっきはナンパから連れ出すために繋いでくれました。ですが、今回は違います。特に繋ぐ理由はありません。



一体先輩はどうしたのでしょうか!?また私をドキドキさせる気ですか!?



もう訳が分かりません。普通に一緒にいるだけでドキドキしているのに、手を繋いで歩くなんて心臓に悪すぎます。



これからずっと一緒にいるのに胸が痛くて辛すぎます。



もったいな気がしますがここは遠慮させてもらって…。



「なんだよ、ダメなのかよ。まあ、ダメって言っても繋ぐけどな。今日一日ずっとな」



「………ダメじゃない…です…。」



なんなんですか、その笑顔は!?このタイミングでその笑顔はズルすぎます!



そんな笑顔で言われたら拒否できる訳ないじゃないですか!



もうただでさえ胸が苦しかったのにキュンとしてさらに酷くなってしまいました…。



先輩はどこまで私を追い込めば気がすむんでしょう…。



顔に一瞬で熱がこもったのが自分で分かります。今頃私の顔は真っ赤に染まっているでしょう。



あの笑顔は反則です。普段しかめっ面しか見せていないのに、私にそんな特別な顔見せたら勘違いしてしまいそうです…。



これ以上好きにさせないで下さい…。



私は黙ったまま心の中で先輩にお願いするのでした。




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