意地悪11(待ち合わせ)
ジャンル別日刊2位、総合日刊11位まで来てしまった…。まさかここまで皆さまに見てもらえると思わず、嬉しい限りです。ありがとうございますm(_ _)m
そんなわけで嬉しすぎたあまりまた投稿です(笑)
くくく、完璧だ!これで明日、雨宮は俺を確実に嫌うだろう。俺の安眠はもうすぐそこまで来ている!
雨宮の誕生日前日、俺は机に座り、この2週間で準備してきた計画を見直していた。
入念に練られた計画には、至る所で意地悪をすることが決められており、明日雨宮が受ける屈辱や落胆を考えると笑いが止まらない。
これだけの意地悪を1日で受ければ、さすがに雨宮は嫌になって俺から離れていくだろう。
ああ、明日が待ち遠しい。さあ、明日決行だ!
俺は明日するつもりである様々な意地悪をシミュレーションし、期待に胸を踊らせながら眠りについた。
翌日、集合時間である10時の10分前に俺は集合場所に移動していた。
ふぅ、とりあえず無事集合場所に着いたな。ここまでは計画通りだ。
さて、雨宮はもういるのか?
キョロキョロと首を振って集合場所付近を探す。
お!あれは!
見慣れた雨宮の姿を見つけ、声をかけようと近づく。
だがすぐに雨宮が男2人と話しているのに気が付いた。
なんだ、知り合いにでも会ったのか?話が終わるのを待つか?
話しかけるべきか待つべきかを考えていると、ふと意地悪を思いつく。
くくく、神は今日、俺を味方しているようだ。
神は俺に『今日、雨宮に嫌われろ』と言っているに違いない。
まさか、計画にない絶好の意地悪の機会をもらえるとは!
神よ!俺は今日、その使命を全ういたします!
俺が考えた意地悪はこうだ。あの話している雨宮と男2人の間に割り込む。そして話を強制的に終わらせ、雨宮を連れて行くのだ。
突然勝手に会話を終わらせられた雨宮は俺に怒るに違いない。
くくく、さあ、やるぞ!
「よう、雨宮」
声をかけつつ、雨宮と2人の男の間に割って入る。
「せ、先輩!」
なぜか俺の顔を見てホッと安心したように顔を緩める雨宮。
「おい、てめえ、なんだよ、勝手に途中から割り込んできやがって。俺たちが話してたんだ。どいてろよ」
割り込んできた俺に男達2人は怒声を浴びせてくる。
お、おう…。確かに、割り込んで怒るのは分かるけど、そこまでキレることか?友達なら別な日に話せるだろ。譲ってくれよ。
「悪いな。今日はこいつは俺と遊ぶ予定だから、別な日にしてくれ」
もちろん俺はそんな男達の主張など受けはしない。今日は入念に計画した俺の数多の意地悪が待っているのだ。譲れるわけがない。
「ふざけんな。そんなこと言われて、大人しく引き下がれるかよ!」
だが向こうも俺の提案など聞かず、掴みかかってくる。
俺はその手をさっと体を捻って躱し、逆に襟を掴み返す。
そしてそいつに顔を近づけて睨みつける。
「いいから、譲れよ」
低い声で言い放つと男は、ひっ、と情け無い悲鳴を上げた。
男が怯んだ隙に雨宮の手を握り、俺は雨宮を引き連れてその場から立ち去った。
くくく、会話に割り込んで終わらせただけでなく、ここまで雨宮の友人に酷い仕打ちをしたのだ。さぞかし雨宮は俺のことを嫌いになっただろう。
様子を伺おうと思い、大人しく手を握られてついてくる雨宮に、歩きながらチラッと視線を送る。
雨宮は俯いており、前髪から覗く顔が真っ赤に染まっていた。
やはり、上手くいったようだ。怒りで顔が真っ赤に染まっている。
くくく、意地悪が順調すぎて俺が怖いぜ。
そろそろいいだろう。
ある程度歩きあの男達から離れたので、一度立ち止まって握った手を離す。
立ち止まっても雨宮が俯いたままでこっちを見ようとしないので、思わず声をかける。
「雨宮?」
「……」
しかし俺の声掛けに反応することなく俯き黙ったままだ。
ほんの少しの間、俺と雨宮の間に沈黙が漂う。
その沈黙を破るように雨宮がやっと動き出した。
その瞬間、俺は雨宮に視線を釘付けにされ、一挙一動に目が奪われる。
一歩、また一歩と、燃えるように上気した顔で俯いたまま、ゆっくり俺の方に近づいてくる。
そして俺の目の前で止まると、ポカポカと俺の胸を殴り出した。
「…え?」
思いがけない行動に戸惑い、堪らずもう一度雨宮の名前を呼ぶ。
「お、おい、雨宮?」
俺の問いかけにやっと雨宮が口を開いた。
「………もう!もう!もう!もう!なんなんですか、先輩は!?なんで先輩はあのタイミングで現れるんですか!?いつもいつもいつもいつも……。」
言葉を吐き出すたび、殴る力はますます弱く、その速さはゆっくりになっていく。
「先輩はズルい人です!ズルすぎます!卑怯です!あんなの反則じゃないですか!目の前であんなことされたら……!」
溜まった言葉を吐き出し終わるのと同時に殴るのも止む。
殴るのをやめた手は俺の胸の服をくしゃりと掴み、プルプルと震えていた。
そしておずおずとまたゆっくり一歩、俺の方に近づく。
そのままコテンと俺の胸に頭を預け、雨宮は自分の胸に残った最後の言葉を吐き出すように小さく呟いた。
「…先輩は……本当に意地悪です…」
俺は意地悪と言われたことにも気付かず、うなじから耳の裏まで紅葉のように赤く染まった雨宮を呆然と眺めていた。
まさか、出会うだけで1話使うとは…。なかなかデートが始まりませんでした(笑)
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