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未知との遭遇?

 

 …。

 ……。

 ………。


 ………………………………………あれ?


 いつまでたっても衝撃がやってこない。死にたいと思っていたわけではないけれど、あの状態で見逃してもらえるなんてご都合主義を信じられる程楽天的ではない。

 まさか獲物が怯えるのを見て楽しみながら、お食事をする魔物だったのだろうか。目を開けたら大きな口がまだそこにあったら怖い。

 そう思うのに、恐怖で頭がおかしくなりそうで、目を閉じて黙っていられそうにない。悲鳴をあげて無様に走って逃げたい衝動が、内側から私を急かしてくる。


「いっ…いやあああっ……あ?」


 発狂したように悲鳴をあげて、手足をバタバタと振り回してはたと気がつく。さっきまでずっと聞こえていた魔物の唸り声が聞こえない。

 恐々と片目をチラリと開けてみる。


「え?」


 さっきまでそこにいたはずの魔物がいなくなっていた。

 獲物を前に逃げるとか、どういうことだろう?

 間違っても私が追い払ったわけではない、震えて丸まっていただけなんだから。それならどうして?とそう思って辺りを見渡してみると、私の後ろに一人の人が立っていた。

 眩しい金色の髪がまず目についた。緩くウェーブのかかった金髪は腰まで流れ、白と青の着物のような、ローブのような服を着た体は、ほっそりと背が高かった。

 顔は…言葉にできないくらい美しい顔って本当にあるんだ。とトンチンカンなことを思ってしまうくらいに、美しかった。

 完璧に左右対称のパーツ。金のまつげに縁取られた瞳は黄金の輝きを発し、鼻筋の通った高い鼻はギリシャ彫刻もかくやというくらい完璧で、薄めの唇はまるで紅を塗ったように赤く艶めいていた。


「お主はバカなのか?」


 え?なに?男?

 絶世の美女の口から聞こえてきたのは、美声ではあったけれど甘いテノール。


「せっかく死んで消えるところだった魂を助けてやったというのに、なんでまた直ぐに死にかけるのだ!」


 地面に尻餅をついたままの私の頭の上で、超絶美形の男性がなにやら怒っている様子である。


「聞いているのか?」

「あ、あの…」

「なんだ?」

「ええーと、どちら様でしょうか?」


 向こうはなんだか私のことを知ってるような態度で話をしているけれど、こちらは全然見たこともない人だ。なにより、こんな美人なら一度でも見たら忘れないだろう。


「ぬ?………」


 ぬ?


「ああ、そう言えばお主は我を知らなかったな」


 今思い出したとでも言いたげな顔で、美人が頷いている。


「我はこの世界の三柱の一人、エーヴァルトである。この世界は我を含めて三人の神が納めている。それぞれに得手不得手があるが、それをお互いが補い合っているのが現状だ。だが、最近我の力が衰えてきてしまっての。我は生命の誕生や、戦の勝敗などにはあまり力を持たぬ。故に人々は我を忘れ、我に対する信仰が消えつつあるのだ。そのせいで力が衰え、神々の力の均衡が崩れかけてきている。そしてそれは世界の歪みに通じかねんのだ。だから、お主を連れてきたのだ」


 話が、理解できません。

 あまりにも荒唐無稽なことを話されているからなのか、それとも目の前の神様だと名乗る人があまりにも美しすぎるからなのか、話の内容が全然頭に入ってきません。

 どうして神様の力の均衡が崩れることと、私がこの世界に呼ばれたことが「だから」になるのかがどうしてもわからない。


「お主は自分が死んだことを理解しておるか?」

「…やっぱり、死んだんですね私」

「ああ、そうだ。どこまで覚えているかは分からぬが、屋上から落ちたことが原因でお主は死んだ。助けてやれれば良かったのだが、我の神格ではあの世界に干渉することができなくてな、消えゆく魂を拾い上げるのが精一杯であった」

「神格?神様にもカーストってあるんですね」

「うむ、我の世界はまだ生まれたての子供のようなもの、故に神の力もお察しといったところか」


 そっかあ、神様も色々大変なんだな。

 それにしても、私やっぱりあの時に死んじゃってたのか。そうなるとあいつらは殺人罪に問われるのかな?まあ、自業自得だから同情はしないけど。

読んでいただきありがとうございます。

ちょっとづつ進んでいきますので、よろしくお付き合いください。

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