こんな人生もう嫌
新作を始めました。
一人ぼっちの女の子が、新しい世界で自分の人生を作っていくお話です。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
「ここは……どこ……?」
学校の屋上から落ちた筈なのに、気がついたら青空の下木漏れ日が眩しい森の中って、どういうこと?
それともここって天国?いわゆる死後の世界ってやつかな。
ペタペタと自分の体を触ってみる。
幸いにしてどこにも怪我をした様子は無かったし、痛いところもない。怪我をしていないと言うことは、本当に死んだの?それとも、屋上から落ちたのが記憶違い?
あれが記憶違いだったのならどれだけいいか。
私、樋渡椿は、いわゆる孤児である。
交通事故で両親を亡くして、唯一の肉親である叔母さんの家に厄介になっている。
叔母さんはバリバリのキャリアウーマンでワーカーホリックな人なんだけど、私にはとっても優しい。仕事が恋人な人だから、当然独身なんだけど、お金は余るくらい持ってるらしく、私一人大学まで出したって余裕だって言ってくれた。しかも私立の大学だってOKだって言うんだから太っ腹。
そんな優しい叔母さんと二人暮らしをしながら高校へ通わせてもらってたんだけど、世の中には親がいないってだけで虐めてくる輩が存在するんだね。
学校へ行けば靴を隠され、教科書を破かれ、お昼を食べればわざとぶつかってきて床に落とす。トイレに行けば閉じ込めから水をかけてくるコンボ。罵詈雑言、暴言の嵐は日常茶飯事で、高校へ通って1ヶ月もする頃には立派な登校拒否児になってしまった。
あの頃のことは思い出したくもなく思い出だから割愛するけど、立ち直れたのは幼馴染の愛理のおかげ。
クラスの中心にいる愛理は長い黒髪のストレートがトレードマークの、学園一の美少女だった。
愛理が廊下を歩けば男子が目をハートにして振り返るし、愛理が微笑めば気難しいと評判の先生ですらニコニコと話を聞いてくれるんだから凄い。
そんな皆んなに愛されている愛理にお願いをされたら、学校に行かないわけにはいかない。
本心ではもう学校なんて行きたく無かったし、あいつらに会うのも嫌だったけど、愛理がいてくれるならもう少しだけ頑張ってみようかと思ったんだ。
痛む胃を抱えて通った最初の一週間は、何事もなく穏やかに過ぎてくれた。
その後も小さな嫌がらせはあったけれど、昔みたいな陰湿な虐めはなりを潜めてくれたから、なんとか毎日を過ごすことができてたんだけど、それで全てが終わったと思うのは間違いだった。
あんまり考えたくないし、そういう人がいることを認めることもしたくないけれど、彼女たちは私を虐めることでストレスを発散していたらしい。
愛理の名前で書かれた手紙が靴箱に入っていた放課後、疑うこともなく屋上に上がった私を待っていたのは愛理じゃ無かった。
教室の中ではいつも愛理と一緒にいる私を、ギラギラとした目で睨みつけていた彼女たちは、私を認めた瞬間、ニタリとしたいやらしい笑みを口元に浮かべた。
「おっと、愛理じゃ無かったからってそんなにすぐに帰らなくてもいいだろ?」
わざと粗野な言葉遣いで私の恐怖を煽ろうとしているのか、ニヤニヤと嘲笑うような笑みを浮かべて迫ってくる。
くるりと踵を返して逃げようと思った時には時すでに遅かった。
四人がかりで手足を拘束されると、引きずられるようにして屋上の端に連れていかれた。
当然抵抗はしたし、助けを求めて声もあげたけれど、速攻で口にハンカチを突っ込まれて、さらに猿轡を噛ませられてしまった。これじゃ、手足をバタつかせるくらいしか抵抗の手段は無くなったんだけど、四対一ではそれも無駄な努力だった。
「最近随分とでかい顔してるじゃん」
「いけてる奴らと一緒にいるからって、自分もいけてると思ってんじゃないよな?」
「孤児が偉そうなんだよ、金がないなら学校なんかくんじゃねーよ」
ガシャンとフェンスに体を打ち付けられて、グッと息が詰まった。咳き込みたいくらいに肺が圧迫されて苦しいのに、口の中に突っ込まれたハンカチのせいで呼吸すらままならない。
苦しさに目の端に涙が浮かんでくる。
「なに泣いてんだよ」
「あたしらが虐めてるみたいじゃん」
泣かせるようなことをしておきながら、泣けば泣いたで文句を言う。多分私がなにをしても気に入らないんだと思う。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いってやつだよね。
引き抜く勢いで髪の毛を掴まれて、ガシャンガシャンとフェンスに打ち付けられて、金網が地味に痛い。
そうやって何度も暴行が繰り返されているうちに、どこかの留め金が緩んだのか外れたのか、ぐらりと大きく体が傾いだ。
「っ……!」
ヤバイ!そう思った時には、いじめのリーダー格が振り上げた前キックにお腹を蹴られたところで、その勢いで一気に体が空中に投げ出された。
助けを求めて伸ばした手は、どこにも捕まることができないまま虚しく空を掴み、私は5階の高さから落ちた。
読んでくださってありがとうございました。
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