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第34話 果てなき旅

「フギャー! ふぎゃー!」


「う、産まれた!?」


「ええ、ワタリ、元気な男の子ですよ」


「メリナ、お疲れ様……無事で良かった……」


「心配し過ぎよワタリ、ホープだってミケルもカイルも居るんだから大丈夫に決まっているでしょ?」


「この子が俺たちの……」


「ええ、ほーらパパだよー」


 俺は恐る恐るその小さな命を抱っこする。

 儚く消えそうだが、光り輝く命……小さな息吹に感動してしまう。


「この子が生きていけるように、俺、頑張るわ!」


「良かったわね、パパ頑張ってくれるって!」


「ところでホープ、この子は……その、なんだった?」


「メリナとワタリの遺伝的要素を持ちます。そして生まれつきマイクロマシンを有しております。

 体組織などを判断すると、人間……ではないでしょう。

 吸血鬼とも違う新たな種族かと、古典的な呼び方としてはダンピールかと……」


「……魔族と子供作れるんだな」


「何今更言ってるのよ!」


「ま、種族はともかく、この子のためにもそろそろ安住を考えるか……」


「そうね……正直、きりがないわね」


 今俺達はホビたちの村からは数万キロは進んできた。

 途中様々なことがあった。

 エルフやドワーフとの出会い。

 獣人たちの村を救ったり、虫の巣を潰したり。

 とにかくこの星は広い、広すぎる。

 あまりに広大なので、それぞれ意思疎通が可能な生物が触れ合うこと無くそれぞれ生きている。

 そして、お互いが協力し合えば解決できる問題を抱えていることも少なくなかった。

 俺たちはそんな種族の間を行き来して、交流の機会を増やしていった。

 そんな流れの生活の中でメリナが妊娠した。

 荒事はできる限り減らし、今はエルフの里に家を借りて出産に望んだ。

 エルフにはドラゴンを討伐して恩があるのでとても良くしてくれている。

 実は魔族であるメリナは当然だが、新型のマイクロマシンのせいで俺の体にも異常が起きていた。

 ほぼ老化することが無くなっているらしい。ホープの分析ではだ。

 村を出て15年、肉体の衰えも頭の衰えも一切感じない。

 メリナは同じ時間を歩めると喜んでくれている。

 

 広大な土地に、分散した集落を形成して知的生命体が、自然や魔獣に怯えて暮らしている現状を、俺らは打開できる技術と知識を持っている。

 みんな今の生活に満足しているわけではない、死ぬよりはましと生活している種族が多い。

 俺は子供のためにもそういった種族間をとりなして、問題を解決して少し大きな集団を作り、生活環境の改善をこれからの目的とすると決めた。


 それから俺はメリナと子供のために、この星を走り回る日々が始まった。

 ホープはメリナたちのもとに残して、カイルとミケルを連れて、様々な種族の問題を解決し、道を通して物資を循環させる。

 虫を殺し、乱暴な魔獣はやっつけるか場合によっては従えさせることもした。

 知性の高い動物は家畜として生活に利用したりもする。

 未開の地だった場所が少しづつ開拓され、種族同士が協力することで組織だった生活を送れるようになる。

 その日暮らしでいつくたばってもおかしくないような生活をしていた獣人は農業や畜産によって安定した食事を手に入れることができるようになる。

 果樹園で得た果物でドワーフから道具を買う。

 農作物と酒を交換する。

 まずは物々交換から種族間取引が活発になっていった。

 始めは従順だった種族が、反旗を翻すこともある。

 基本的には蹂躙して二度とそういった気を起こさないように教育するんだが、愚かにも子どもたちやメリナに手を出そうとした種族は根絶やしにしてしまった。

 もちろん、同じ種族はどこかに居るだろうが……


 そんな事を繰り返しているうちに子どもたちも成長していく。

 気がつけば様々な種族が集まって生活する都市が出来上がっていた。

 そして、その中心にはメリナとホープが居る。

 俺は実働部隊の長として動くほうがやりやすいのでメリナ帝国を作り上げた。

 多くの子達が、各地で忙しく働いている。

 今では夜叉孫もたくさん生まれてくれた。

 みんな可愛くて仕方がない。


 俺?


 相変わらず俺はこの星を走り回っている。

 時々ミケルにメリナに変装してしてもらって二人で色んな未知を探すことも続けている。

 そうそう、ホブたちも巨大な王国を作り上げていた。

 国交は結んでいる。

 ホブたちも存在進化によってすでに寿命の概念は無いらしく、今度久しぶりに会おうかなんて話をしている。

 この星は、果がない。

 常に俺をわくわくさせてくれる。

 ときには身分を隠して地方の種族の生活を助けたり、そんな事をしたりもしている。

 別にこの星を支配したいわけでもないから、各地に色んな国があるような、そんな星になっても面白いと思う。


 今一番力を入れているのが虫の生態調査だ。

 なぜこの星の虫は我々に明確な敵意を持って襲ってくるのか、そもそもどこから現れているのか……

 各地に巨大な巣を形成していることはわかっているのだが、もっと根源的な場所がある気がしてならない。

 虫との戦いは、国の歴史と言ってもおかしくない。

 我々が成長するのに合わせて、虫たちも強力な個体が現れたりと油断はできない。

 極寒の地から灼熱の火山地帯、列島諸国、この星の懐の深さには未だに驚かされることばかりだ。

 原始的な生活をしている種族はまだ多い、近代化が正しいとは言わないが、まだこの星では出来ることが多そうだ。


 毎日飛び回っているこの生活は、俺に非常に合っている。

 一日たりとも退屈することはない。

 この星に他の人間がたどり着いたらさぞ驚くだろうな。

 それこそ、剣と魔法のファンタジー世界に迷い込んだと思い込むかも知れない。


 いや、ああいったファンタジー作品は、宇宙のどこかにあるこういった星に迷い込んだ人間が書いているのかも知れない。


 この星に居る謎の存在の謎、虫の謎、そして俺たち家族の未来は、まだ謎だらけだ。

 それでも、この星で、俺は精一杯生き続ける。

 それが星先案内人としての、俺の人生になるんだと思う。


「ホープ! 今回は行けるとこまで北に進んでみるよ」


「でしたらX435,Y936地点に巨大な虫の巣があるので殲滅をお願いします」


「わかった。メリナはどうする?」


「今回はパス、夜叉孫たちが遊びに来るって、あとで画像送るわね。

 行ってらっしゃい」


「みんなによろしくな、それじゃあカイルミケル行くぞ!」


「うん」


「はーい」


 俺の冒険はまだ終わらない……

最期までお付き合いいただきありがとうございました。


万能感が出てしまい、これ以上続けてもうまく組み立てることが難しくなってしまったので、

おれたたエンドになってしまったのは自分の実力不足です。

これからも精進いたします。


読んで下さる方々のおかげで最期まで書き切れました。

本当にありがとうございました。


もしよろしければ、他の作品も御覧ください。


またあいましょう!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初この連載を見かけたとき10話まで読んだけど、面白そうだったけどまだ最新してなかったので ある程度話数が進んだら読もうと思っていた。今日見たら完結済みだったので最後まで読ませていただきま…
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