表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/34

第32話 移動

「それにしても、多いわね虫」


「そうだな、町から離れるとこんなに虫が出るんだな……」


 思い返せばまだ村とも言えない頃は何度も虫に襲われて苦労したなぁ……

 襲いかかる虫たちを退治しながらそんな事を思い出す。

 今はダンゴムシ? のような多足で甲を持つ虫を相手にしている。

 ここ最近は町ではすっかり虫を見なくなっていた。

 鉱山の付近ではたまに見かけたが、みんなが殺してその甲羅などでツルハシやヘルメットなどを作っていた。

 すっかりこの巨大虫も驚異とはならなくなって狩って素材を取るだけの存在になってしばらくすると自然と見なくなっていた。

 もしかしたら、虫たちは意思共有でもしているのかもしれないな……


 虫を蹴散らして平原を進んでいく。森が途切れて広い草原に出たのでホープをカータイプに変化させて爆走している。

 頭よりも高く茂っている草は先頭に座るカイルが切り開きながら進んでいる。

 ミケルは天井に乗って周囲の警戒にあたっている。

 敵が出たら俺とメリナで蹴散らしている。もちろん3人は援護してくれるが、必要もない。

 数で来ても、質が違いすぎる。

 もちろん襲ってくるのは虫だけじゃない、獰猛な野生生物が襲いかかってくることも有る。

 虫よりは手応えがある。

 力の差を感じ取って逃げる者は特に追うことはしないが、本当に強力な個体は命をかけて襲ってくるので、こちらも全力を持って対応する。


「ミケル! メリナを頼む! ホープも援護!」


 アーマー状態になったカイルを身に着けて戦うことで、戦闘力は飛躍的に向上する。

 ミケルはメリナが身に着けている。ホープは人型で戦闘に参加して後方支援を行う。

 このフォーメーションで戦うことで、今の所、人智を超えた魔物との戦いも勝利を収めている。


「いや、これ、無理だ。この星こわい……」


「ありがとねミケルー3回は死んだと思ったー……」


「凄まじいですね、正直私は楽観視していたと認めざるを得ません。

 分析を修正します」


「ホブたちの森は、もしかしたら弱者が逃げ込んで生きながらえて続いていた場所なのかも知れないな……」


「なんで嬉しそうにそんな事話してるのよ、ほんと冒険馬鹿よねワタリは、ワクワクしてるんでしょどうせ……」


「そりゃそうだ、進化した3人がフルでサポートして、辛くも勝利する個体が、特に珍しくもないなんて信じられない……3匹もいれば人類史が終わるんじゃないか? 

 マジな話で、それぐらい常識はずれだぞ!」


「なんで絶望的な会話してるのに笑顔なのよ全く……」


「先程のサイと虎をあわせたような生物一匹で機械化兵団2個大隊は必要だろうと思われます」


「その前の4本足の象みたいなやつは比較的ラクだったけど、なんていうか、相性悪いと逃げたほうがいいな……」


「襲ってこなければ戦わないのにね……」


「移動方式を超低空飛行、最高速で移動しますか?」


「例の力は大丈夫なのか?」


「高高度飛行をしなければ大丈夫です」


「そうするかぁ……」


 結局その移動方法は、空を飛ぶ、より厄介な魔物と戦う羽目になって、徒歩で移動するということに落ち着くのだった。


「なるほど、驚異と認められなければスルーされるのか……」


「巨大な物体が、高速移動で派手に動いていたのが、あれだけ襲われた原因でしたね」


「それにしても、虫は共通の敵みたいね、まさか助けられるとはね」


 先程虫と戦闘中にサイコ(サイと虎が合わさってるっぽいからとメリナが命名した)が虫を攻撃してくれた。戦闘が終わっても襲いかかってくることはなかったので、敵の敵は味方理論的なやつかもしれない。


「でも、この移動法気に入ったわ!

 気持ちいいんだもん!」


 今はホープがボードに変化して空気を噴出してフライトボードで移動している。

 カイルとミケルに前方の監視をしてもらい、ホープが草刈りと移動を担当している。

 風を受けながらそれなりの速度で移動できるので、コレは確かに楽しい。

 確かにフライトボードは人気のアクティビティだった。

 乗るのにセンスが必要だけど、メリナはすぐに身に着けて今ではジャンプしたり宙返りしたりと存分に楽しんでいる。

 あんまり騒ぎすぎてまた大量の虫に襲われたので、静かに楽しんでいる。


「ワタリ、草むらを抜けます」


「おおおお!」


 目の前の草地が消えると、見渡す限りに草原が広がっている。

 巨大生物がちらほら見える。空は抜けるような青空、所々に巨大な生物が飛んでいるが……

 遠くには巨大な山や、鬱蒼と茂る森、これほどの自然が一度に楽しめる広大なファンタジー世界に胸が高鳴ってしまう。


「すごーい! こんな場所もあるのね……!」


「ワタリ、メリナ、そろそろ今晩のキャンプ地を考えたほうが良いです。

 この先マップに指定した地点がお薦めです」


「ありがとうホープ、そこに向かうとしよう」


「ワタリ、どっちが先につくか競争よ!」


「あんまりはしゃぐとって、待て! やるとは言ってない、聞いてないなー……よし、行くぞ!」


 結局2回襲われて、勝負は有耶無耶になった……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ