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第17話 進化

別の話と少し混じりました。

申し訳ありません。修正済みです。

 残念ながら宴は行われなかった。

 理由は、一緒に巣を潰しに行ったホビットたちが、体調不良を訴えたからだ。


「あつい……あつい……」


「大丈夫か? 頭だけでも冷やすんだぞ?」


 謎の高熱も発して苦しんでいる。

 戦いの外傷の消毒などもしっかり行っており、あとは現地の薬草などでなんとか体調を戻してほしい。

 俺にできるのは濡れタオルを交換することぐらいだ……

 夜遅くには皆高温期も過ぎて、すやすやと寝息を立てたので、俺も倒れるようにベッドで眠った。


「ワタリ起きて、ワタリ!」


 目を閉じて、目を開けたら誰かに呼ばれていたって感覚で目を覚ます。

 きしむ体を起こして部屋の外に出ると……なんか、一回り大きなホビットが……


「進化した。ワタリ!」

「強くなったよ!」

「気持ちいいよ!」


 みんなが一斉に話しかけてくるが、どうやら機能体調不良起こしたホビットたちが、一晩で進化したらしい……進化ってなにさ……ゲーム的な?

 話し方もずいぶんと流暢になって、サイズも一回り大きい、小学生から中学生位への進化。


「なに、君たちってそういうものなの?」


「魔物、強くなると、稀に進化する!」


「珍しい!」


「昨日たくさんたくさん倒した!」


 確かに、今までのに比べて桁違いの量の虫を駆除した。

 どうやらその影響で進化をしたらしい。

 ハイホビットとかホブホビットとかなのかな?

 本人たちに聞いたらホブホビットがいいらしい。


「進化の宴! やるぞー!」


 こうして、5人の戦士が無事に進化を遂げて、ホビットたちの中心になっていく。

 進化とともに、個性が強くなったので、名前を今更ながらつけてみた。


 元気でみんなを引っ張るリーダー肌、ホビリン。

 冷静だけど負けず嫌いの、ホビロン。

 一番の力持ちだけど優しい、ホビゴン。

 手先が器用で発明家、ホビサー。

 紅一点、弓の名手、ホビミ。

 

 男女の体つきの違いも、殆ど変わらなかったが、ホビミはちょっと女性らしくなっている。

 ホビサーがみんなの洋服を作ったり、生活がさらにグッと近代的になっていく。

 体の小ささというメリットは薄れたが、それを補ってあまりある身体能力の向上、器用さの向上、知性の向上がみられた。

 村は、また一つ時代が進んだような気がした。

 しばらくすると、生まれる子どもたちはすべてホブホビットに変化していくようになって、ますます時代の変化を感じてしまう。

 それでも、この進化によって村の生活が近代化していく。

 俺の教えることもぎゅんぎゅんと理解していき、自分たちで教育というシステムも作り上げていた。

 ミケルとカイルとも意思疎通しながら、どんどん自分たちの生活を自分たちの手で変えていく、なんというか、親離れされた親の気分だ……


 半年もするれば、街の様相は一新する。

 2階建て建築が当たり前になり、木造だけの建築から漆喰やコンクリート、石造りなどが組み合わされた建築物が並ぶようになっていた。もちろん規模も拡大している。

 進化によって生産力も向上しており、農作物、畜産物共に一大農畜産業が展開されている。

 工業部門もいつの間にか高炉が作られていてびっくりした。

 鉄の時代の到来だ。

 おかげでホープの修理も随分と加速している。

 ミケルとカイルもようやく言語能力の修復までこぎつけた。


「いやー、進化って凄いね」


 結局街の敷地の中に湖を取り込んで、ホープ周囲は俺の敷地として管理することになった。

 そして、湖の畔に俺用の家まで建ててもらった。

 2階建てのあえて木造建築にしてもらった。完全にリゾート地の別荘。

 今も湖の上に組まれたウッドデッキに置かれたテーブルで朝食をとっている。


「ホブホビたちは高等教育を理解できるものも出てきているわ」


「手先も器用で、そろそろ電力を利用した文明を広める時期かも……」


 ミケルとカイルもちょこんと椅子に座っている。

 彼らの周囲監視のお役目も必要なくなった。というより範囲が広すぎて難しくなった。

 

「ホープの修理はまだかかるとしても、電気文化になればさらに加速するわね」


「ユニットを復活させれれば、飛躍的に進みそうだけど……」


「それにはもう少しかなぁ、今はホープ用の遠隔素体を作る方を優先しているからね」


「もしかしたら、俺の寿命内に宇宙に戻れたり?」


「ホブホビたち次第かなぁ……」


「まぁ、俺はもう、いいかな。ここでの生活も、ホブたちとの生活も楽しいし」


「たしかにね、ほんとに楽しそうよね。私達のほうが教育で大変よ……」


「次から次へと教えて欲しがるから、すごい知識欲だよね」


「最近は虫の相手も自分たちでこなしちゃうし、俺はのんびりさせてもらってるよ」


「あんまりだらけすぎないでね。一応習慣のトレーニングしているのは知っているけど……」


 そう、なんとなく今でもトレーニングはしている。

 この星に来て時間がたつが、相変わらず体の調子はいい。良すぎると言ってもいい。

 こんな力、使わないで済めば何よりだとは思っているんだけど……


「ワタリ! 先生たち! 緊急事態!」


 俺がそんな事を考えながらダラダラしていると、血相を変えてホビミが家に飛び込んできた。


「どうした? 大量の虫でも湧いたか?」


「ち、違う! 大男が、攻めてきた!!」


 ……長く続いた平和は、突然破られた。



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