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ベータテスター、魔法学を学ぶ

 ドンドン!ドンッドンッ!


「今度は一体誰なんだぁ………俺は安眠出来ない能力(アビリティ)でも持っているのか?」


 俺はまたしても誰かがドアを叩く音で目を覚ます。


「呼び鈴とかつければ良いのに……誰ですか?」

「ちょっと良いか?」

「オルトルト?どうした?」

「ちょっと失礼」

「おっおう」


 オルトルトが押し入るように部屋に入ってくる。心なしか少し焦っているように見えた。


「こんな朝っぱらからどうしたんだオルトルト?」

「拳くらいの大きさの青水晶を知らないか?」

「えっ?いや知らないな。それがどうかしたのか?」

「いや知らないなら良いんだ。朝からすまなかった」

「大丈夫」

「じゃあまた後で」

「さて、二度寝でも………」


 オルトルトが部屋から出て行ったのとほぼ同時にミラリアが部屋を訪ねてくる。


「朝ご飯食べに行こう!」

「たはははははは」


 俺の二度寝の野望は僅か5秒で潰えた。


「はい、皆さんおはようございます。今日は魔法学について授業を行いたいと思います」


 結局俺はそのまま朝食を食べ、ベッドに戻る事無く教室で授業を受ける羽目になった。


「まず魔法には様々な属性があります。一般的なもので言うと地水火風の四元素魔法や光または闇属性の特殊元素魔法、あとは属性を持っていない回復魔法や防護魔法といった補助魔法ですね」


 なにやらキューハイトが魔法学の説明をしているようだが眠すぎて一つも頭に入ってこない。


「ハイド君!起きるのです!《狙撃(シュート)》!」

「ぐがぁ!?痛ってぇ!」


 キューハイトがチョークを俺の頭目掛け投げつける。ご丁寧に魔法による強化まで添えて。

 チョークは見事俺の頭に命中し砕け散った。


「ハイド君、起きなきゃ駄目だよ?」

「ああ、すまん」


 この笑顔の前では口が裂けてもお前の所為で眠いなどと言うことは出来ない。


「続けます。我々には魔法適正と言う物が備わっています。この魔法適正がどのような属性であるかによって覚える魔法が変わって来ます。例えば火属性の適正を持っている人は火属性の魔法を簡単に覚える事が出来ますが、反対に水属性の魔法は覚えにくくなります。一般的に魔法適正は一種類しか持っていないと言われていますが、稀に二種類以上持っている人もいますね。ちなみに私には闇属性魔法の適正が備わっています」


 まだだ、まだ耐えられる。

(長い!いつになったら終わるんだ!あ、これ駄目なやつだ)

 俺は段々意識が遠のいて行くのを感じていた。


「また君ですか!起きなさい!《電流波(エレキウェーブ)》!」

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!!」


 俺の身体に文字通り電流が走る。

 俺の眠気は先程のチョークと同じように一瞬にして砕け散った。


「今しがた使った電撃魔法は先程説明した属性の中では特殊元素魔法にあたります。というか良く分かって居ない魔法は大体特殊元素魔法に割り振られてしまいます。この様にまだまだ魔法については解明されていない事も多いのです。皆さんの中には将来魔法学を学びたいと思っている者もいるでしょう。その方達は是非魔法の謎を解き明かしてもらいたいと思っています。さて丁度良い時間になりましたし、今日の授業はここまでとします。午後の授業はアスレチックをやりたいと思いますので裏の森に集合して下さい。それでは解散!」


 長い戦いが終わったと思っていると班のメンバーがニヤニヤしながら近づいてきた。


「ハイド!見事に寝ておったのぉ!」

「……………電撃を受けた時の反応が面白かった」

「ですよね!ぐわぁぁぁ!って!もう面白くって!面白くって!」

「チョークが当たって飛び起きてる所なんて最高だったよ!」


 ミラリアを含めオルトルト以外のメンバーは全員が全員笑いながらこちらを見ていたが、オルトルトだけは申し訳無さそうな顔でこちらを見ていた。


「すまんな」

「いえいえ」

「どうしたの?何か喧嘩?」

「まあそんな所だ」


(お前入れ違いだったろ!)


「さていつも通り食堂に行きますか!」

「んーちょっと待ってくれ」

「どうしたんだオルトルト?儂はもう腹が減って腹が減って仕方がないぞ?」

「誰か()()()()()

「張ってるって?」

「食堂前で待ち伏せしてるやつが居る」

「どうして分かったんですか?」

「ちょっとね」


 そう言ったオルトルトの右手は魔法陣を描いていた。


「どうする?」

「正面突破で!」

「いいのかミラリア!?」

「うん、みんながいれば大丈夫でしょ!」

「まあ君に頼られるのは嬉しいのだが……」

「………ちょっと脅かしてみる」

「幻術か?」

「………まあね《複製幻像(クリエイトクローン)》」


 ヘーゼルが魔法を唱えるとキューハイトそっくりの幻影が出て来る。


「………これで何とかならないかな?」

「すごーい!」

「凄いです!ヘーゼルちゃん」

「それじゃあ行こうかのぉ」


 俺達は食堂に向かう。

 食堂の前にいたのはやっぱりヒレルンだった。


「今日こそはお前を……ヒィ!」

「何かありましたか?ヒレルン君?」

「な、何でもありません!」


 またしてもヒレルンは目にも止まらぬ速さで逃げて行った。


「「あっははははははは!!」」


 逃げて行くヒレルンの姿に俺達は笑いが込み上げてきた。


「上手くいったね!ヘーゼルちゃん!」

「さて、さっさと昼食を食べてアスレチックに向かおう!」


 ちなみに本物のキューハイトは食堂内でシチューを食べていた。


「なんだか外が騒がしいですねぇ」

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