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三話

【エレナの力】


「ここだよ」


あれから数分して、洞窟もといダンジョンの隠れ部屋の最奥部に来た。

といっても、それほど大きなところではないため迷うことなどないわけで、エレナも拍子抜けしたらしく「意外と小さいのねえ」と言っていた。


この一週間、この場所まで来るのに数々のトラップなんかもあったが、すべて解除したので楽にこれた。

エレナには言わないが、エレナはどうやらおおざっぱな性格らしく俺が何者なのかに対して初心者の冒険者がバカやってここに迷いついただけだと思っているようだ。

数分の間、彼女がいかにすごいかについて恥ずかしくならないのか?と思うほど語っており、俺についての質問とか一切なく、俺の案内する方向へついてくる。


宝箱らしきものがある場所は小部屋になっていて食料などは俺がいつもいた場所にすべて持って行ってしまった為、あるのは腕輪やらアクセサリー系のものでエレナ曰くそれらはアーティファクトと呼ばれる古代の遺物なんだそうだ。俺が触っても反応がなかったのでただのアクセサリーだと思ったのだが違ったみたいだ。


「でもあんたがなんでここで一週間も過ごせたのか不思議だったのだけど、この空間じゃ魔獣は出現しないのね」


「みたいですね。私としてはありがたいです」


今だ自分の事を私というのは変な感じがするが、そのうち慣れるかなぁ


エレナのいう魔獣とはダンジョンに無限に生成される生物の事で強力なものからそうでないものまでいるらしい。しかし、このダンジョンはランクA以上の魔獣生物が多くいるみたいだ。魔獣のランクはFからSSSランクまでありこのダンジョンはランクSSまでの魔獣がいるそうだ。

ほんと、俺はこの場所に飛ばされたが魔獣が出ない空間で助かった。

運がいいのか悪いのかわからないが。


「開けるわね」


「どうぞどうぞ」


エレナは宝が目の前にあると興奮して「はぁはぁ」と声をだしている。

なんかこういう状況の時、そうよくある小部屋で宝箱を開いてみたらトラップでした的な物があるがそれに似ている。

まぁ今回は俺が何度か来た場所だからそんなことはありえないわけだけど。


ビービービービー


突如大音量の音が、この小部屋全体に響き渡った。

あまりの音の大きさで反射的に耳をふさぎ蹲った。

音は10秒すると小さくなっていった。

そこで、ようやく顔を上げると、そこは先ほどの小部屋ではなく洞窟、ドーム状の巨大な部屋へと変わっていた。

そこでようやく何かが起こったのか悟ったのかエレナが「強制転移させられた!?」と焦りの声を漏らす。

強制転移という言葉で俺もまた焦りを感じていた。ダンジョンではなくてもその行為がどのようなものかはわかる。

以前、魔族が使い俺を魔竜のもとへと転移させた時があったが、その時も俺の仲間の一人が強制転移と言っていた。つまり・・・・罠だ。


転移した後のエレナの動きは素早かった。突然体中が光に包まれると銀色の鎧を着たエレナが現れた。手には光輝く剣を握っている。


「妃王剣<ヒオウケン>一の舞」

エレナの剣が光の粒となって消え、同時に彼女の周りに無数の短剣が現れる。

「ディフェンス形態」


エレナが戦闘態勢へと移行すると同時に洞窟の壁が崩壊、そこから無数の魔獣達が雄たけび越えを上げながら走ってくる。

って、のんきに構えてる場合じゃねえな、とりあえずエレナのそばに行かないと、死ぬ。

急いでエレナのそばまで走ると、空中に浮かぶ剣が俺が通れるくらいのスペースを開けてくれた。


「エレナ。ありがとう」


「ふん、あんたには地上で働いてもらうんだからここで死んでもらっても困るのよ。……あんたには言いたいことがあるけど、いいわ。とりあえずここから出ることを優先するわよ。まぁランクA相当の魔獣、魔物の大群だから勝てるか、私でも分からないけどね」


そういって彼女は手を前に向け「アタック形態」と唱えると周囲を回っていた短剣が魔獣達に刃を向ける。

「アタック」

こちらへ向かう魔獣達に向けエレナは攻撃をする。


短剣は魔獣達にあたり光輝くと爆発するように魔獣ごと消滅する。

「かっけぇ」と声を出していた。それほどまでにエレナの使う力は勇者をやっていた俺からしても異常なまで強力な力だった。

そうしてエレナの顔を見ると、彼女は厳しい表情をしていた。


「魔獣は属性耐性がないみたいだけど、魔物はそうはいかないみたいね、クソ」


彼女の目の先には、剣によって吹き飛んだ魔獣達の中には吹き飛ばずに歩いてくる魔物たちの姿があった。

魔獣・魔物を大まかに分けると魔獣は四足歩行の動物型、魔物は二足歩行の人間型

魔族とは魔物が知性を身に着けた集団単位の存在の事だ。

また、魔物はそれぞれに属性耐性があり、それぞれの個体にあった攻撃が必要となる。

エレナの魔法は彼女の持つ銀色の剣の能力と彼女自身の魔法によるものだろう。

それが魔物に通用しないということは無属性魔法だということだ。

俺自身あまり詳しく魔法について知っているわけではないから詳しくはわからない。


でも、これは展開的には危機的状況だ。

俺の魔法はどうやら攻撃向きではない為、攻撃の要はエレナだ。

しかし、彼女の攻撃は魔物には効果がないときた。

どうするかとエレナのほうを振り向く


「ヒナ、ちょっとさがってなさい」


「え、はい」


「あんまり使いたくなかったんだけど、このランクのダンジョンなら当たり前だったわよね」


彼女は目を閉じると、魔獣と魔物を攻撃していた短剣が攻撃を止め消滅した。


「妃王剣<ヒオウケン>二の舞」


エレナは両手を上にかざすと両手の上が光輝き始める。

光の粒が剣の形となって表れた。


「エーテルソード展開・アタック形態」


剣が元の剣の何倍もの大きさになる。光輝く大剣が現れた。


「行くわよ、断罪の剣エーテルソードで滅びろ魔物ども!!」


エレナの大剣が降り降ろされると、その大剣はビームを出すかのよう形を変え魔物たちへと向かう。



ただ一つわかったことがある。

エレナ、あんた・・・・勇者だった時の俺より強くね!?



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