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#0 【9】
何度か転びかけたりしたけれど、僕はなんとか怪我をせずに凍った道を抜けた。
僕は安堵の息を漏らすと、気を取り直して、真っ直ぐ前を目指す。
先程までは多く並んでいたビルディングも、少しずつ数が少なくなってきた――目当ての店は、もう少しだろうか。
ふと、多少雪に埋もれている『薬』と描かれている看板が目に入った。雪で隠れていて、危うく見逃してしまう所だった。
僕はすぐに看板の前まで行くと、傍にあった家への近道の裏路地に入る。路地裏は相変わらず、侵入者を阻むかのように道は暗く、狭かった。
その上、薄い氷が、まるで絨毯のように道一杯に張っている。