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#0 【7】
「……寒っ、早く帰ろう」
――刺す様な冷たさが顔に襲い掛かり、僕は足を速める。こんな事なら、いっその事教室に居たままの方が良かったかも知れない。
当然無理なのだけれど、少なくとも外にいるよりはマシだと思う。
凍て付いた校門を抜けると、僕はすぐに大通りへと向かった。人ごみの中なら、少しは寒さも紛れるだろうか――大通りに着いたとき、僕はふと思った。
当然、そんな都合の良い事など起こりはしなかった。寒さが紛れるどころか、人混みさえ無かった。
普段なら沢山の人が居る筈なのだけれど、今日は特別寒いからあまり出かけている人が居ないのだろうか。
……それから数分間歩き続けても、閑散とした大通りで目に入ったのは、道路の端に寄せ集められた雪のみだった。