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慣れた手つきで靴を履き替えると、僕は鞄から手袋とマフラーを取り出す。
それらを淡々と身に付けると、雪の世界へと足を踏み出した――僅かに青みを帯びた雪が美しかった。
一歩雪道を歩いてみると、雪は少しばかり硬くなっていた。砂利を蹴るときと似たような音がして、雪の欠片がきらきらと光りながら宙を舞う。
思っていた以上に、外は寒かった。氷のように冷たい風が全身を襲い、僅かに降っている雪が顔を濡らす。
今朝、東京の気温は氷点下を超えるだとか、ニュースキャスターが言っていた気がする。昨日の気温は、あまり寒くなかった割には、5,6度だった。
たがが数度の違いだけれど、こんなにも差があるとは思いもしなかった。