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蒼の狼  作者: 宮野狐々
#0
13/14

#0 【13】

犬でもよく「くぅ~ん」という声を出しますよね。


「くぅ~ん」


甘えるような声を上げると、狼は僕の手を軽く噛む……人に慣れているのだろうか。僕はつい和んでしまって、もう一度狼の頭を撫でた。


「……ん?」


不意に、生温かい、舌の感触が手に伝わった。あまりにも突然すぎて、思わず『ひゃっ』と間抜けな声を上げてしまった。


まさか、舐められるとは思いもしなかった。頬がちょっとだけ熱くなった気がする。


僕が困惑していると、再び、狼が僕の手を舐めてきた。舌の感触がまた僕を襲う。


「くすぐったいっ」


あまりにもくすぐったくて、僕は思わず呟いた。すると、思いが通じたのだろうか――狼はそっと口を離した。僕は小さく安堵の息を漏らす。

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