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犬でもよく「くぅ~ん」という声を出しますよね。
「くぅ~ん」
甘えるような声を上げると、狼は僕の手を軽く噛む……人に慣れているのだろうか。僕はつい和んでしまって、もう一度狼の頭を撫でた。
「……ん?」
不意に、生温かい、舌の感触が手に伝わった。あまりにも突然すぎて、思わず『ひゃっ』と間抜けな声を上げてしまった。
まさか、舐められるとは思いもしなかった。頬がちょっとだけ熱くなった気がする。
僕が困惑していると、再び、狼が僕の手を舐めてきた。舌の感触がまた僕を襲う。
「くすぐったいっ」
あまりにもくすぐったくて、僕は思わず呟いた。すると、思いが通じたのだろうか――狼はそっと口を離した。僕は小さく安堵の息を漏らす。