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#0 【11】
#0もあと少しで終わります。…多分
反射的に振り向くと、そこには二つの蒼い目が浮いていた――否、浮いているように見えるだけだろう。砕けた氷の上に、薄っすらと足らしきものが見える。
最初は人の足だと思ったけれど、目の位置は低すぎるし、人なら靴を履いている筈なのに、目の前に居る『何か』は、素足だった。
足の輪郭が少し見えるから、きっとそうだと思う。
……また、じゃりっと音を立てて『何か』が近づいてくる。次第に、『何か』の姿が見えてきた。
足は細くて、指が四本ある。正確には、前足には4本と、長い踵の傍にもう一本――この時点で、『何か』は人間ではないだろうと僕は確信する。
そういえば、友達で動物に詳しい人が居た。確か踵付近にある指は、狼爪と聞いた覚えがある。イヌ科によく見られる物だ。