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悪役令嬢に転生したけれど、とりあえず放置していいですか?  作者: シエル


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8/19

Ep.7 全員集合してしまいました

更新滞ってしまい、すみません┏○ペコッ

今日から再び、更新します!





それはある日突然やって来た……。




時が流れるのは早いもので、私とクロード様は十五歳になりました。



婚約者となり、王太子妃教育をこなしながら少しずつ公務に携わったりしていたけれど、未だ婚約解消の気配の『け』の字もなく、いかに逃げるかを日々模索しながら過ごしていた数年でした。



そんなある日の午後——太陽がこれでもか!というほど遠慮なく日差しを降り注がせる中、王城の庭園にあるガゼボで涼しげに婚約者との交流という名のお茶会を楽しんでいる。



……いや、本当に楽しいかは別として。




クロード様は相変わらずイケメンで、可愛らしい男の子から逞しい青年へと成長した。



もちろん私もあの漫画と同じように、青みがかった艷やかな黒髪、手足も長くて出るとこは出て引っ込むべきところはキュッとしている。


前世の私がベアトリスを前にしたら拝んでいたかもしれない。




「ベアトリス。今日は私の側近候補を紹介してもいいかな?」




まさかの発言に思わず口の中の紅茶を噴き出しそうになったけれど……いや、正確には『ゴフッ』という残念な音と共に噎せた。



いきなり咳き込む様子に驚いて、クロード様は慌てて駆け寄ると私の背中を擦ってくれた。




……やはりデキるイケメンは女の子の扱いも完璧らしい。




「も、申し訳ございません。うっかり詰まらせてしまいまして……」




ゴホゴホと咳込みながら必死に落ち着こうとするけれど、先ほどの台詞が引っかかって一向に止まらない。



そこへクロード様が果実水を注いだグラスを私の口元に当て、ゆっくりと飲ませてくれた。


ひんやりとした液体が喉を伝っていくのが分かり、グラスの半分ほどを飲み干すとゆっくりと深く深呼吸をした。




「……クロード様、ありがとうございました。おかげで窒息死を避けることが出来ましたわ」



「それは良かった」




クロード様は弾けるような眩しすぎるほどの笑みを浮かべ、「ハハッ!」と声を上げた。


目が眩みそうになりながらも耐え切って「ごほん」と一度咳払いをすると、話を戻した。




「……それで、先ほどクロード様の側近候補の方をご紹介頂けるというお話ですが……」



「うん、まだ確定じゃないんだ」




クロード様いわく暫定的な側近らしく、王立学園を卒業する頃まで特に問題がなければ正式に側近として採用されるという話だった。




我が国の貴族子女の大多数は基本的に王立学園に通う。



家を継ぐ者はこの王立学園を卒業していなければならないという法律がある。


爵位を継承する人間が基本的な領地運営や経理、法律などを知らないまま実務が出来ると思ってる?という考えのもとで定められているわけだ。



うん、領主が頭空っぽで困るのは領民だからね。当然の話だ。



他にも婚約者探しだったり、家門同士の繋がりを求めたり……まあ、色々と自分の価値を高める為に通う人が多い。



……ただ中には学園に通うほどの金銭的余裕がないとか、既に補佐や騎士として働いていて時間がないとか、既に嫁いでいるとか……まあ様々な理由がある。



ちなみに王城で勤務するにも学園卒業が必要だから、ここで働いている人はみんな学園を卒業している。


その為、側近候補たちもクロード様と同じく学園に通う。



そして……例のヒロインと攻略対象たちが出会い、愛を育む舞台がその学園だったりする……。




「……どうかした?やはり気分が悪いかい?」




突然黙り込んでしまったことを心配してか、クロード様が顔を覗き込んで来たところで、はっと意識を引き戻した。




「あっ……申し訳ありません。ぼーっとしてしまいました」



「そうか。体調が悪くないなら良かった」




ほっとしたような表情で、再びキラッキラな笑顔を見せた。




「クロード様の側近候補の方ですが、差し支えがないようでしたらご紹介下さいませ」




「うん」と頷くと、クロード様は振り返って手を上げた。


すると合図を出すとすぐに三人の男性がこちらへ向かって歩いて来る。



ごくりと生唾を飲み込み、目の前に並んだ人たちへ視線を向けた。




「紹介するね。左からオスカー、フィリップ、セドリックだよ」



「初めまして、アッシュローズ公爵令嬢!ペンドラゴン侯爵家次男のオスカー・ペンドラゴンです。よろしく!」



「お初にお目にかかります。ゴルトライヒ公爵家嫡男、フィリップ・ゴルトライヒと申します」



「初めまして。聖教会教皇嫡男のセドリック・ハリンストンです。よろしくお願い致します」



「初めまして。アッシュローズ公爵家長女、ベアトリス・アッシュローズと申します。こちらこそ、よろしくお願い致します」




彼らも貴族子息として……いや、一名は違うけれど、とにかく挨拶をしてくれたので私もカーテシーと共に挨拶をした。



オスカーは近衛騎士団団長子息、フィリップは宰相子息、セドリックは教皇子息だ。


クロード様を加えて四人の攻略対象を目の前に、微笑みを保ちながら冷や汗が背中を伝うのを感じた。




「全員来年には王立学園に入学するし、これからも会う機会が増えるから今の内に紹介しておきたかったんだ」



「アッシュローズ公爵令嬢はとても優秀とお聞きしておりましたので、お会い出来ることを楽しみにしておりました」



「俺もだ!俺は殿下の護衛に就くから特に会うことが多いだろうからな!」



「私は他の二人に比べて普段教会にいることが多いので、学園以外ではお目にかかる機会が少ないかもしれません」




一人一人気さくに声をかけてくれるけれど、この四人は入学後『悪役令嬢』として私を断罪する……。




…………何でこうなった!?



本来の計画では既に婚約解消されていて、彼らとは距離を取っているはずだったのに!!


強制力というやつか!?原作補正なのか!?




意識が遠のきそうになるのを堪え、「おほほほっ」と前アイゼン侯爵夫人のように小さく笑ってみせる。



……まずい、ひっじょうにまずい……!


どうにかして後一年で婚約解消して貰わねば!!




側近候補も加えてお茶会を続行しながら、殆ど会話の内容も紅茶の味も分からないまま、笑顔で誤魔化してその場を凌いだ。





屋敷に戻って私室に籠り、現在私は胡坐をかいて腕を組むという貴族令嬢としてあるまじき格好で、前世の妹の話を思い出す。


成長するにつれて記憶はだんだんと曖昧になり、途中で慌ててメモをしたけれど……。



確かヒロインとクロード様が出会うのは、あるある設定で入学式の日だったはず。


オスカー様とフィリップ様、セドリック様は別の場面だったと思う……こっちは妹の推しじゃなかったから、ほぼ覚えていない……。



…………とにかく!私が悪役令嬢役になるのはクロード様ルートなんだから、私が気を付けることといえば




①虐めない→むしろ関わりたくないから虐めるつもりなど全くない。


②ヒロインとクロード様の仲を応援する。


③逃げる→敵前逃亡上等!




……うん、私が出来ることなんてこんなものだよね。



強制力が働くなら私が何しても無理だろうし、そうなったら学園を辞めて領地に引きこもろう。


幸い私は家を継ぐわけじゃないし、ベアトリス命!のお父様とお兄様に頼めば領地の隅っこで養ってくれるだろう。




「よし!放置しよう!」




ベッドから降りて決意を新たに、拳を握り締めた。





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― 新着の感想 ―
婚約解消のけの字もなく?
(クロード殿下)「紹介するね。左からオスカー(侯爵家次男)、フィリップ(公爵家嫡男)、セドリック(教皇嫡男)だよ」 殿下は、「侯爵家次男」、「公爵家嫡男」という爵位に無頓着なのか、より信頼しているの…
「……ただ中には学園に通うほどの金銭的余裕がないとか、」 これを私なりに意訳すると、 「……ただ中には(王立学園に通わない貴族子女もいる。)学園に通うほどの金銭的余裕がないとか、」
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