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「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚  作者: きぬがやあきら


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26/42

新しい協力者 1

 リュシエンナの口調は有無を言わせぬ厳しさを帯びていた。


「かしこまりました……っ」


 シャヘルは青褪めて即座に踵を返し駆け出す。


 だが途中で足を止め振り返ると、恨めしげな目でレオノールを睨みつけた。


「でも、私が望んでしたんじゃありません。私は先輩方から命じられただけなんです」


 言い訳なのか、捨て台詞なのか、けしからん恨み言を残してシャヘルは去った。


「殿下より妃殿下に十分な配慮がない場合は即時報告をし、状況によっては処罰の権利まで与えられています。人員を入れ替えますので、ご安心ください」


 リュシエンナは眼鏡の位置を整えつつ嘆息すると、頭を下げた。


 ただでさえ礼儀作法に疎いのに、リュシエンナの態度が教師と臣下を行き来して、返し方がわからない。


「私としては可愛がってるつもりだったので複雑ですが、ご厚意に感謝します」


「使用人の躾は、女主人の威厳を支える大切な務め。王城勤めの使用人たちは厳選されておりますが、それでもきっかけがあれば悪心を起こす者もおります。あの者たちを増長させた責任は、妃殿下にもあるのです」


 多分、この国で一番腕っぷしの強いレオノールにとっては、城勤めの誰もが小動物のようにか弱い生き物だった。


 ”凍てつく波動”を使えば猛獣をも縮み上がらせられる。


 ちょっと怒鳴れば”咆哮”となり、手でも上げようものなら即死だ。


 だから、優しくしてやらねばと考えていたが、リュシエンナの指摘もまた事実だ。


 元勇者であっても、今は王太子妃なのだから。


「私が浅はかでした。ごめんなさい」


 レオノールは頷き、反省した。


 レオノールがきちんとシャヘルを導けていれば、あの子達は罷免されずに済んだはずだ。


「お分かりいただければ結構です。妃殿下は優雅さとはかけ離れていますが、お人柄と素直さは美徳だと思いますよ」


 厳しく指導しながらも、合間にきちんと承認を挟む。


 リュシエンナは優秀な教育者だった。


 彼女の指導のもと、その日からレオノールは王太子妃たる人物の在るべき姿を学ぶこととなる。


 そこからはまた、目まぐるしく状況が一変した。


 身辺の人員を入れ替えるのだから当然だ。


 侍女長を伴ったシャヘルが戻り、リュシエンナの叱責の後、各人に新しい配置が割り当てられた。


 いきなりクビにされるわけでもなさそうだったので、その点はホッとした。


「メリッサと申します。至らぬところもあろうかと存じますが、精一杯お仕えいたします」


 ほどなくして、淡い栗色の髪と目を持つメリッサがレオノール付きの侍女と決まった。


 くるくるとした癖毛と大きな瞳はあどけなく感じられるが、真っ直ぐにレオノールを見上げる表情には誠実さがあった。


 少々おっかないリュシエンナと比べると、どんな動作もいちいち可愛らしい。


 イメージは森の子リスそのものだ。


「よろしくね、コリスちゃん」


「《《メリッサ》》とお呼びください、妃殿下。今後一切、おふざけは禁じます」


「はぁい……ベーレンドルフ夫人」


 リュシエンナとレオノールのやり取りに、いきなり面食らったメリッサだったが、仕事ぶりは中々のものだった。


 まず、メリッサはレオノールをダルマ姿から解放してくれた。


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― 新着の感想 ―
お互いに相手側のルールや価値観を知ったりするタイミングがなくて噛み合って無かったから、擦り合わせしてくれる仲間が出来るのは頼もしいですね
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