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攻略5

作戦は概ね順調だった。


実際に魔法を扱う実践魔法学では明らかにやる気のない素振りのくせしてどんな魔法も一発で成功させるヤバいやつを演じた。字面だけみると天才じゃん。

魔法薬学でも調合を一発成功なんて当たり前だし、ダンスや剣術なんかもそつなくこなした。

教師陣からしたら授業態度悪いのに成績上位にいる扱い辛い生徒だったと思う。他の生徒も何となく一線を引きたくなるのか、カンナが一緒にいない時は組み分けとか溢れることもしばしば。ダンスパーティーやサマースクールなんかは見兼ねたお嬢が一緒に組んでくれる事もあった。

何気に面倒見良いよねお嬢。しかも三年の経験の差があるのに魔法系の授業の成績はどっこいなんだから見上げちゃう。



繰り返すけど作戦は概ね順調だった。

なのに一点だけ看過できない誤算があった。



「ふん、面白ぇ女だな。おまえ、俺の女になれよ」


エネオットから告られた。

時期で言えば三年に進級したあたり。

どうもあたしの問題児ロールプレイが彼のヤンキー憧れ琴線に触れたらしい。鳴らすなそんなもん。


「エネオット様、お戯を。私のような庶民なんて相手にしても仕方ありませんわ。では失礼いたします」


毎回軽くあしらって逃げるんだけど、どうもそれも良くなかったみたい。なんか簡単に捕まんないのが良いらしい。人のことクワガタか何かかと思ってる?


それ以降本当にことあるごとに絡んできた。

授業中あたしとペア組みたがるし、廊下で会おうものなら向こうから犬が尻尾振ったみたいに駆け寄ってくる。ああ、顔が良いからすごく可愛い。

そうなると必然的に殿下や他の取り巻きとも関わる頻度が増えてきてしまった訳で、ここら辺から作戦が破壌し始めた。辛い。



「本当に、私のような庶民には本来皆様方とお話しする事すら憚れるものですのに……。エネオット様はきっと好奇心がお強いのでいわゆる麻疹のようなものに罹っただけだと思いますが、私の方にはエネオット様をお慕いする道理が一切ございません」


「まあエネオットったら、カレリーナなんて素晴らしい婚約者を持っておきながら……。殿下を通じて注意しなければ。こうしてはいられません、わたし行って参りますわ」


機会があったからお嬢にそれとなく相談してみたら、お嬢の取り巻きの一人が凄く悲しそうな顔をしていた。この人がどうもエネオットの婚約者のカレリーナ嬢らしい。

お嬢はいそいそとその場を後にする。言葉通り殿下のところに行くのだろう。


後日噂に聞いた所によると、殿下とお嬢が何やら言い争いをしていたとの事。カレリーナ嬢の事といい、これはだいぶんやらかしてしまいました。




大分ビクビクしながら月日は流れ、いよいよお嬢に殺された日と同じ時を迎えた。

そして案の定というか、今度はカレリーナ嬢が暴走した。マジおかしくない?


「庶民のくせしてエネオット様に色目を使いやがって!貴方さえいなければ!ここで殺してやる!」


崩壊した学園をバックに恐ろしく禍々しいオーラを放つカレリーナ嬢。この人は魔法の授業あたしより成績下のはず。なのに暴走しただけでこんな事になるもの?なにか暴走ってだけじゃない気がする。


「カレリーナ様誤解です!私はエネオット様の事なんて……」


「うるさいバカ!死ね死ね死ね!ここで殺す!」


レーザーのような魔法で眉間を貫かれたのだと思う。あたしの意識はそこで沈んだ。ああ、また失敗したのか……

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