攻略3
庶民、もしくは平民か。この世界の公子たちはあまりそういった人種と触れ合う機会がないみたい。特にこの学園に通うような人たちはガチもんのボンボンかエリートしかいないもんで、前のループでは入学当初なんて本当に珍獣みたいな扱いだったわ。
その中でも、今隣でオリエンテーション受けてるこの娘だけは友達になってくれたんだよね。
カンナ・リヴィエール男爵令嬢
緑色の髪を三つ編みにした、丸メガネをかけた大人しい娘。博識で授業のことは勿論、貴族式の挨拶や授業でやらないような慣例なんかも随分とお世話になった。今回も大いに助けてもらおう。
「……ところでカンナ様、この学園で殿下達と関わらない為にはどうすればよろしいのでしょうか」
小声で話しかけると、まさかそんな話題を振られるとは思ってなかったのか少しギョッとした様子。
「……畏まらなくていいよ。気軽にカンナって呼んで。私は貧乏男爵家の三女だし。でもなんで関わり合いたくないの」
相変わらずカンナちゃんまじ優しい。
コソコソとお喋りをするあたし達をオリエンテーション指導教員がキッと睨むが、こちとら三年過ごした学園の、しかも一度受けた事のあるオリエンテーションじゃ。そんな事より死活問題の方が優先。
「……ほら、私は庶民ですし陛下に無礼を働こうものなら首が飛ぶかもしれかいので。出来れば目立たず平穏無事に過ごしたいなぁと」
題して、三年間何も関わらずに過ごしてお嬢暴走を起こさせないぞ大作戦。
お嬢は何故かあたしに嫉妬した結果あの悲劇を起こしたとすると、じゃあもういっその事関わらなければ良いんじゃないかな。前回は中途半端に関わってたせいで勘違いさせてしまったみたいだし。
「ミス・スターライト、随分と気もそぞろですが注意事項等を聞き流しても知りませんよ。例えば魔法授業の「はい魔法授業では各生徒個々人の力量を鑑みて昇級式にする一方、二学年進級までに五級魔法使い検定に受からなければ留年となります」……聞いていたのなら結構」
うるせえこちとら命がかかってんだ。五級なんて今すぐにでも受かってやるよ。
鳩豆顔(鳩が豆鉄砲を食ったような顔)した指導教員は渋々と言った感じでオリエンテーションを続けた。
「……目立たないのは無理じゃないかなぁ」
なんでよカンナ。