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攻略2

殿下が生きてる……それにみんなも。

少し幼い殿下達をぼうっと眺めてると、不意に目に入った人物に思わず吐き気を催してしまった。


フレアデリック・ソーンシャトー公爵令嬢。


成績は常に学年トップクラス。特に魔法の才能は凄まじく、教師陣をもってして「学園創設以来最高の才能」と言わしめるほど。アーレント第一王子の婚約者にして、あまりにも強すぎる美貌の持ち主。

そして、3年生になった卒業間際に学園を崩壊させ、何よりもあたしを殺した張本人。夢?いや、さっきまでの出来事を夢と片付けるにはあまりにも生々しい。


確かにお嬢には少し嫉妬深い一面もあった。でも庶民ということで無作法を働いたあたしを迫害するでもなく嗜めてくれた張本人。努力家で負けず嫌いで、殺されたけど、吐き気がしたけど本当に憎みきれない。


てか「貴女がいなければ」とか言われたけど、あたし殿下と別に変な関係じゃないし。確かに他の子と比べたら仲良かったかもしれないけど、別に一緒に遊んだりした訳でもないしなぁ。


さて、そんなこんなで殿下とお嬢のやり取りを見送ったら、出席したもののあんまり記憶にない入学式に出席。またしてもあれこれ考えて聞き逃したけど大した問題はないでしょ。


今度は体調不良という訳でもないので廊下ですれ違わないはず……て、目の前の人垣がサッと二つに分かれた。突然現れた殿下と取り巻きたち。え、また?

思わず立ち止まってしまう。そんなあたしに歩み寄ってきた殿下。相変わらずめっちゃ顔が良い。


「壇上で見ていたが、体調が優れないようだな。顔色が悪いぞ。救護室に行った方が良いのではないか」


「アーレント様、突然話しかけたから固まっているではありませんか。……おい、本当に大丈夫か?」


すんごく聞いたことあるセリフを吐く王子様の次は青髪クール系メガネイケメン。


ジークハルト・トルポホース子爵子息。


氷の魔法を得意とする名門トルポホース家の長男。クールだけど義理人情に厚く、誰よりも仲間思い。武闘派。


「ジークもあんまり絡んでやるな。俺達の立場で早々相手に話しかけて良いもんじゃ無いぞ。おい、お前名前はなんだ。教師へ体調不良の旨報告しておくから」


「いやいやエネオットこそ絡んでんじゃん。自力で歩けてるんだし放っておこうよ。面倒だしとっとと行こうよー」


エネオット・サイボール子爵子息。


赤髪で大柄。制服なんかも少し着崩しがちでヤンチャに憧れてるけど根が真面目で、そこら辺を隠しきれていない。実は次男らしい。


アイルアロー・トチアルベロ伯爵子息


アイルくんなんて呼ばれてるけど、取り巻き四人の中では一番親の地位が高い。少し癖のある緑色の髪をした小悪魔系というか子生意気というか。末っ子らしく、同い年のはずなのに見た目とか身長も相待ってそうは見えなかったなあ。


おっと、物思いに耽っている場合じゃない。確か前は自己紹介をして、そのまま教室に向かったはずだ。


「お声がけいただき光栄ですわ殿下。私、エリス・スターライトと申します。せっかくご心配いただいた手前大変申し訳ございませんが、皆様にお気を遣っていただく程ではございません。お心遣い感謝いたしますわ。では私はこれで。ご機嫌麗しゅう」


スカートの両端をつまんで軽く一礼する。3年間練習したお陰であたしの挨拶も中々様になってきたはず。ふふん……あれ、ダメじゃね。


ほら、現に殿下達なんか面食らった感じになってんじゃん。コソコソと喋ってるのも聞こえてんぞ。「本当に例の庶民か」とか言って、これ完全にやらかしたわ。

そりゃあ今日入学した庶民が貴族式の挨拶知ってる訳ないわな。


あたしはその場から逃げるようにそそくさと離れた。


だめだ。あたし一人じゃまたやらかしかねない。やらかした先がまたお嬢暴走なんてなった日には目も当てられない。協力者が必要だ。


教室に入り空いてる席に座る。協力者は庶民のあたしとも友達になってくれる事が条件。


「こんにちは。お隣よろしいかしら」


そんな条件と一致する奇跡の存在は、前の時と同じようにあたしに話しかけてくれたのだった。


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