第四話
-------黒江詩視点-------
時間が巻き戻り、朝日が配信を始める少し前。
会議が終わり、みんなとご飯を食べてた後、各々が自由に時間を過ごしているころ、自分は今は一番気になっていたVtuberの配信があるということで、そのチャンネルを探しているところである。
「えっと、確か名前が唐暮茜だったはずだよね?あ、あった。これだね。」
見つけたチャンネルでは、まだ配信は始まってはいなかった。しかし、待機している人数は1万人を越えているのでさすが大手だと思った。そんなことを考えていると、配信がスタートしたのだ。
「みんな~、こんかね~、G・L・V所属、五期生の唐暮茜だよ~。みんな楽しみにまっていたかな~?」
その声を聴いた時、自分はどこかで聞いた覚えがあるなと思いながらも、声にはまってしまったのを実感したのだった。
配信を見ていると、どうやらいつもより機嫌がいいようだそのことを視聴者に指摘されてなぜなのかを答えていた。
「いやー実はですね、今日の雑談配信で話そうとしたことなんですけど、みんな私が今推しているバンドは知っていますよね?」
『茜ちゃんが今推しているバンドと言えば・・・』
『何だったけ?』
『確かカラーイッシュていう名前じゃなかったけ』
『そうそれだ』
『一回曲聞いたことあるけど、結構よかったよ』
『そうなんだよ、気づけばいつの間にか何回も聞いてるんだよ』
「えっ?いま、バンドの名前で出なかった?」
いきなり自分のバンドの名前が見えてきて驚きを隠すことが出来なかった。しかし、何かの間違えかもしれないから、配信をしっかりと見ないといけないと思い。配信に集中した。
「そうなんです、そのカラーイッシュの事なんですけど、少し前に配信していたんですけど見た人はいますか~?」
やっぱりそうだ、僕たちのバンドの事を言っている。そのことを認識すると、なんだかとてもうれしくなった。そんなこんなでうれしいという気持ちをかみしめながらも配信の続きを見ていく。そうして話は僕たちがVtuberとしてデビューしたことに対しての話に変わっていった。どうやら、理央のイラストや詩恩のモデルがすごいという話になっているようだ。それに対して自分の事のように、うれしく思っている。そんなことを考えながらも、配信を見続けた。そうして、終わりの時間が近づいてきた。
ああもう終わってしまうなと思い、最後まで楽しもうと配信を見ようとした。そうしていると最後の最後でとんでもないことをいきなり言ったのだ。
「今日はもう時間が来ているのでこれで終わりにしますねー。あと、できるかどうかは置いといてコラボをしたいと思っているので、そこを目指して頑張っていきますねー。」
『まじか。』
『まあ、ガチオタクだし。』
『オタクらかしたらできるならしたいと思うのは常。』
『確かに。』
『まあ、頑張ってください。』
「それじゃーおつかねー!」
『おつかねー!』
『おつかね』
『おつかねー!!!』
-------この放送は終了しました-------
「まじで・・・?」
あまりのことに、しばらく意識が戻らなかった。コラボしたいと思われていたんだ。そう思うとなんだかもっと頑張ろうと思えてきた。もっと有名になってコラボできるようになろうとも思った。もっと頑張っていこうと思えてきた。やっぱりVtuberとしてデビューしてよかったと思うことが出来た。
そんなこと思いながら、時間も時間なので寝る準備をしてベットの方に行くことを決めたのだ。
こうして、双子の姉弟は、お互いが知らず知らずの内に推しとなったことで物語が始まったのです。