第三話
私は黒江朝日、Vtuberとして活動する大学生である。私が所属するのがG・L・V(グローバル・ライブ・ブイチューバ―)エンターテイメントという企業で。できてからまだ五年しかたっていない企業ではあるが、某大手のタレント企業が株主という事もあり、その資本力は他の企業と比べても多く、多くの企画をすることで人気を博している。また、新人の獲得にも力を入れており毎年3人がデビューしている。そんな新人の一人として私はデビューしたのである。
そんな私のVtuberとしての名前が唐暮 茜。私の名前が朝日という所から発想が太陽に飛び、色が赤という所から赤を表現する際に使う漢字を使うという感じで名前が決まったのである。
私自身のチャンネルは、大手からデビューしたこともあり、登録者数もデビューから4か月で30万人超える中堅レベルにはなっている状態ではある。しかし、自分の先輩たちは既に100万人も超えていることもあり、同期も着実に登録者を伸ばしているためうかうかして入れない状態ではある。
そんなこんなではあるが今日私は、今推しに推しているバンド「カラーイッシュ」の重大発表があるためPCの前で今か今かとその発表を待っている状態である。この配信後、自分のチャンネルで雑談配信をするためのネタ探しという面で見ているのもある。
いったいどんなことを発表するのかな。新作の楽曲の発表かな。ついにメジャーデビューすることになったのかな。と色々考えているとついに時間になり配信が始まった。
「こんにちはー!カラーイッシュのボーカルUTAだよー!みんな―元気にしてるかなー?」
元気にしてるよー!そう叫びたい気持ちがあふれてくるが今は家にいるので我慢。
「今日は、私たちの活動に関しての重大な発表があるから最後まで見ていってね。じゃあ、配信の時にやっているいつもの演奏やっていくよ。」
やっぱり、活動に対しての発表なんだと思い。もしかして活動を終わらせるなんていうマイナスなことかもしれないと考ええてしまい気分が少し萎えてしまったが、いつもの演奏が始まることを思い出し気分を高揚させる。
「3・・・2・・・1・・・GO!」
そうして、配信の最初に始まる演奏がスタートしたのだ。
演奏を聴いている間、いつも聞いている曲という事もあり、一回料理をするために席を離れた。しかし、私が離れた際に重大発表が始まってしまったのである。
「みんなー、ここまで聞いてくれてありがとうー。ここから、私たちの重大発表をしていきたいと思いますー!」
私が肉を炒めている時にこの声がPCから聞こえてきたのである。そのことに気づいた私は、何とかして見に行こうと思ったが、肉を焦がしてしまうかもしれないと考えてあたふたしている間に配信は続いていくのであった。私は意を決して配信の方を選択してPCの前に戻るのであった。戻ったタイミングはちょうどPCに映っていたマイクが光だし人の形に変化している途中の所だった。
画面に映る姿は、黒い髪でショートカット目の色も黒でたれ目のかわいらしい顔立ちである。見た目だけでは美少女といった感じではあるが、性別の方は男か女か分からない状態である。
その姿は、私の好みに激ヒットしていた。もう頭の中にはこの子のあわれもない姿をいくつも考えており、また、それをどうやって絵にしていこうかと考えている状態であった。気づけば、鼻から血が出ていた。また、配信も妄想している間に結構進んでいたようでUTA以外のメンバーも画面に映っている状態になっている状態で、企画も進行しているようだった。
「じゃあ、今回やる企画ですが、無難に質問に答えていくというのをやっていこうと思います。」
そんな企画をすると分かった私は、すぐにスマホを取りマシュマロの方に質問を送った。マシュマロ自体はランダムで選ばれることを知っていた私は、選ばれることを願いながら質問というか自分の願望を増しましにしたコメントを送ったのだ。
そうして、企画が進み最後のマシュマロになった。私は、自分のマシュマロが選ばれるように祈った。また、無意識だったがそれも言葉に出ているようだった。
「お願いします。お願いします。」
そうして選ばれた最後の質問は、
[皆さんがいま出せる一番いい声でこのセリフを各々自分流にアレンジしてから読んでください。
今日はこの配信に来てくれてありがとう。また見に来てね。おやすみなさい。]
これであった。私が送ったマシュマロであった。願いがかなったのであった。もう天にも昇る気分であった。
「しゃあああああああ!」
選ばれた瞬間、私は叫んだ。家にいるという事を忘れて叫んだ。
「あーあ、どんなアレンジでいってくれるのかな~。まじで楽しみ!」
そんなこんなで、準備の時間が過ぎついにその時が来た。
メンバーが各々アレンジをした私がお願いしたセリフを言っている。もう、最高だった。
[今日の配信来てくれてありがとう。また、見に来て。僕はとっても嬉しかった。だから、今日はいい夢を見ることが出来ると思う。だから、おやすみなさい。]
[今日の配信来てくれてありがとう。僕の配信とっても良かったでしょう。だから、僕を褒め称えなきゃいけないんだよ。じゃあ、おやすみなさいー。]
[今日のー、配信にー、来てくれてー、ありがとー。僕のー、しゃべり―、方には―、なれたかなー。慣れて―、くれると―、とってもー、嬉しいなー。またー、見に来てねー。おやすみなさいー。]
[今日の配信来てくれてどうもありがとうございます。いつも君たちが見に来てくれることを感謝しいてるよ。でも、今日はここまで、もう寝る時間だ。じゃあ、おやすみなさい。]
[今日の配信見に来てくれてありがとう。僕も君たちが最後まで見てくれてとっても嬉しかったよ。だから、夜はぐっすり寝てまた見に来てね。おやすみなさい。]
気づけば、配信は終了していた。どうやらしばらくの間気絶していたようだった。そのことに気づいた私は、今の時間を確認して、配信までの時間がまだある事に安堵したのだった。
「あ~あ、マジで最高だった。まさか、カラーイッシュがVtuberになるなんて思いもしなかったよ。」
考えることは先ほどまでの配信で発表されたこと。メジャーデビューじゃなかったことは少し残念だったが、まさかの私と同じVtuberになるなんて本当に思いもしていなかった。いまさらながらすごい事だと認識したのだ。もしかしたらコラボできるんじゃないか。そう考えて、これからの配信に力が入るのだった。
そんなこんなで、自分の配信を配信をやる時間が近づいてきた。PCの準備をして、配信開始のボタンをすぐにクリックできる状態で、時間が来るまで待つ状態になった。
「はあ~あ、今日の配信位置を雑談配信という事になってるから、さっきのカラーイッシュのことを話すことでいいかな。あ、もう時間じゃじゃあ始めないと。」
時間も来たので、開始ボタンを押して配信を始めるのだ。
画面には、赤やオレンジを基調とした和服のような衣装を身に纏った人が映っていた。
この人物が、私黒江朝日が演じている唐暮茜である。
「みんな~、こんかね~、G・L・V所属、五期生の唐暮茜だよ~。みんな楽しみにまっていたかな~?」
『こんかね~』
『こんかね~』
『わああああああ!』
『待ってたよー!』
『パチパチパチパチ!』
『今日機嫌がよさそうだね?』
『確かに、何かいいことがあったのかな?』
「あ~分かっちゃうかな~?」
『声のトーンがいつもより高いからよくわかるよ』
『最初の方は少し違和感あったけど』
『何でわかるの・・・』
『いや簡単だったよ。』
『それで何かあったの?』
「いやー実はですね、今日の雑談配信で話そうとしたことなんですけど、みんな私が今推しているバンドは知っていますよね?」
『茜ちゃんが今推しているバンドと言えば・・・』
『何だったけ?』
『確かカラーイッシュていう名前じゃなかったけ』
『そうそれだ』
『一回曲聞いたことあるけど、結構よかったよ』
『そうなんだよ、気づけばいつの間にか何回も聞いてるんだよ』
「そうなんです、そのカラーイッシュの事なんですけど、少し前に配信していたんですけど見た人はいますか~?」
『俺見たよ、まさかだったよね』
『なになに、何があったの?』
『教えて、教えて』
『まさかのVtuberとしてデビューしたんだ』
「そうなんだよ~カラーイッシュがVtuberとしてデビューして、配信活動を多くするって発表したんだよ。」
『へー、そうなんだ。』
『それは、よかったね。』
『しかもキャラデザが結構いい感じなんだよ。』
「そうなんです、皆さん一度は見た方がいいかもしれませんが、メンバー全員のデザインがほんといいんですよ。しかもかなりモデルのクオリティも高いんですよ。」
『これはクオリティ高いですね』
『彼らは確か個人勢だよね。結構かかってそうだな。』
『はーしかもキャラデザ凄すぎ』
『でもこの絵柄見たことないな、誰が描いたんだろう。』
「絵師の方は、メンバーのRIOさんが描いたものらしいですよ。すごいですよね。」
『ええ!本当に!?』
『こんなにクオリティ高いのに、無名だったとは。』
『とんでもなくいい絵柄しているじゃん。』
「ですよねー。しかもモデルの方もメンバーの一人であるSHIONさんが作ったみたいですよ。私はこんなにぬるぬる動くように作れないのですごいなと思いますよ。」
『こんなにぬるぬる動いているの一人で作ったのか』
『それはすごいな』
『ここまでできるなら、プロレベルって言ってもいいんじゃないかな。』
『確かにすごいな。』
「そうなんですよ~。さらにメンバー全員が何かのプロ級という事で本当にすごいんですよ。私がはまったのも、ボーカルのUTAさんがつくった、ミュージックビデオを見てはまっていったんですよ。そうだ、ちょっと今から一緒にその映像を見ていきましょう。」
そうして、アーカイブにあるミュージックビデオを視聴者と見ながら雑談配信をして一時間が経過したのだ。
「あっ、そろそろ時間が来たみたいですね。」
『そうみたい。』
『いつの間にか一時間も経っていたね。』
『ミュージックビデオを本当に良かった』
「そうですよね、本当に良かったですよね。曲もいいですし歌詞もいい。ミュージックビデオのイラストもいいし、その構成を作っている動画もすごい。皆さんと雑談もできて本当に楽しかったー。」
『俺たちも楽しめたから、いいよ。』
『また今度、ゲーム配信とかしてくよ。』
『ホラーとか待っています。』
「今日はもう時間が来ているのでこれで終わりにしますねー。あと、できるかどうかは置いといてコラボをしたいと思っているので、そこを目指して頑張っていきますねー。」
『まじか。』
『まあ、ガチオタクだし。』
『オタクらかしたらできるならしたいと思うのは常。』
『確かに。』
『まあ、頑張ってください。』
「それじゃーおつかねー!」
『おつかねー!』
『おつかね』
『おつかねー!!!』
-------この放送は終了しました-------
「ふう~、」
私は配信を切り息を吐いた。
今回の雑談配信、自分が今はまっているバンドの事を話すことがとっても楽しくできたと思うことが出来た。
そんなことを考えていると、携帯が鳴っていることに気づいた。画面には、マネージャーと出ており、おそらく、私がさっきの配信でコラボしたいと言ったことに対しての連絡だろう。あの時は、つい口を滑らせてしまったから、それに対しての注意かもしれないなと思いながらもその電話に出るのだった。
「もしもし、こちら朝日です。」
「もしもし、マネージャーです。先ほどの配信について少し言いたいことがあって電話したんですが、今大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。多分ですけどコラボしたいという事に対してですよね?」
「そうですで、そのことに対して電話をさしていただきました。」
「軽率な発言をしてしまいすみませんでした。」
「いえ、そのことに対してあやまってもらいたいわけではないですよ。コラボの事ですがもしかしたら許可が出るかもしれない事を伝えておこうと思ったから電話をさせていただきました。」
「本当ですか!」
「ええ。そろそろ外部とのコラボも解禁するかという話自体は会議の議題として挙がっていたので。そこに、朝日さんが推しているカラーイッシュを入れることぐらいはたぶん大丈夫だと思いますよ。」
「ありがとうございます!。これからもっと頑張りますのでなにとぞお願いします。」
「分かったは、じゃあ話はこれだけだから、切らしてもらうわね。じゃあ、」
そうして、電話が切られた。
今からコラボできることを考えるとそれまの間頑張っていくことが出来る。
ふふふふふ・・・楽しみだな・・・どんな子なんだろUTAさんて・・・
G
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